情報システム関連の業界団体である社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2008年4月14日、企業IT動向の調査結果を発表した。調査は1994年度から毎年実施しており、今回で14回目となる。「景気回復やリプレース需要を背景に企業のIT投資が活発だった」(社団法人日本情報システム・ユーザー協会の宇羅勇治副部会長)とし、今回の調査結果では前年度よりもIT投資を増やすとした企業の割合は9ポイント増え、71%に達した。

 業界別で見ると投資意欲が強いのが金融業界。売上高に対するIT予算比率の伸びは、前年度比28%と大きい。この要因として、金融業界で進む合併・再編の対応や保険料不払い事件で問題化した管理体制の改善などを挙げている。

 一方で、システム障害や自然災害などのリスクを想定して事業の継続性を計画するBCP(事業継続計画)に関しては、19%の企業が策定の予定なしと回答した。また策定して実際に運用している企業は15%に留まった。この点に関し「企業のリスクへの備えはまだまだの状況」(宇羅氏)と懸念を示した。

 同時にクライアントパソコンが搭載するOSの信頼性や安定性の評価もたずねている。Windows XPに満足していると回答した企業は44%だったのに対し、Windows Vistaに満足していると回答した企業は8%。「XPを少しでも長く使いたいという企業ユーザーの本音が調査結果に現れた」(宇羅氏)とした。