企業規模別・業務内容別売上高増減率(第29回 情報処理産業経営実態調査報告書より)
企業規模別・業務内容別売上高増減率(第29回 情報処理産業経営実態調査報告書より)
[画像のクリックで拡大表示]
元請け・下請けと労働生産性(第29回 情報処理産業経営実態調査報告書より)
元請け・下請けと労働生産性(第29回 情報処理産業経営実態調査報告書より)
[画像のクリックで拡大表示]
労働時間(第29回 情報処理産業経営実態調査報告書より)
労働時間(第29回 情報処理産業経営実態調査報告書より)
[画像のクリックで拡大表示]

 独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は2008年4月11日,「第29回 情報処理産業経営実態調査報告書」を公表した。2006年度の情報処理産業の売上は2.5%増と4年連続プラス成長。一方で下請け企業の労働生産性は元請けの約6割しかない業界のピラミッド構造も改めて浮き彫りになっている。

 調査は1978年より毎年実施しているもの。今年度は2007年12月に4000社を対象に行い,723社より有効回答を得た。

 2006年度の情報処理産業の売上高は2.5%増と4年連続プラス成長で,2005年度の0.8%増を上回った。IPAでは,この伸びを情報セキュリティ分野,コンテンツ関連分野,日本版SOX対応による一時的需要増などによるものと分析している。

 企業規模別では大企業の売上高は3.7%増となったが,中小企業の売上高はマイナス0.9%と減少。2005年度が大企業でマイナス0.5%,中小企業で2.6%増だったのと逆の傾向となった。 

 労働者が1時間あたりに生み出す付加価値を示す労働生産性は,元請け企業と下請け企業で顕著な差が見られた。元請けの労働生産性が6415円であるのに比べ,下請けの労働生産性は3719円。下請けの労働生産性は元請けの58%しかない。下請け企業の中でも,「元請け会社は系列会社(あるいは親会社)である」と回答した企業の労働生産性は3480円とさらに低くなっている。「理由として,元請け企業は労働集約的な業務を下請けに外注化する傾向があることが考えられる」(IPA)。

 2006度の情報処理産業全体の従業員数は2005年度に比べ4.6%増加した。技術・開発要員は2.6%増加している。

 残業時間は229.3時間で,2005年度の263.0時間から減少した。ただし,全産業平均の所定外労働時間128.4時間に比べきわめて長い。

 ITスキル標準V2については「詳しく知っている」または「ある程度知っている」と答えた企業数は36.5%で,「公表されたことも知らない」と答えた企業数の割合24.4%を上回ったという。また組込みスキル標準(ETSS)については「詳しく知っている」,「ある程度知っている」という回答は合わせて20%程度だった。

◎関連リンク
情報処理産業経営実態調査(IPA)