写真●米ベリサイン設立者兼会長で日本ベリサイン会長も兼務するジム・ビゾズ氏
写真●米ベリサイン設立者兼会長で日本ベリサイン会長も兼務するジム・ビゾズ氏
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 米ベリサイン設立者兼会長で日本ベリサイン会長を兼務するジム・ビゾズ氏は4月9日(米国時間),米サンフランシスコで開催中の「RSA Conference 2008」の基調講演に登壇し,「Generation V」と呼ぶ新たな世代のネット利用やそれに対するセキュリティ・ソリューションの方向性などを語った。ビゾズ氏は,安全にインターネットを利用できるようにするために「今日,多くのサービスやユーザーに対して,Trusted Third Party(信頼されるサード・パーティ)が果たす役割は大きい」と強調した。

 「Generation Vには大いに関心がある」ビゾズ氏はこう語る。Generation Vの「V」は,「Virtual」を意味する。ビゾズ氏はGeneration Vを,「パソコン,モバイルなどのデバイスを使って場所を問わずにインターネットにアクセスして利用する人たちだ」と説明する。彼らは現実世界の経験することを仮想空間で経験することに抵抗がない。こうしたGeneration Vのユーザーが急増していることによる影響を,ビゾズ氏は「インターネットへのアクセス手段が多様になった。また,ネットワークは常にオンの状態で大量のデータが散在するようになった」と分析する。

 こうしたGeneration Vの増加傾向は,今後さらに拡大すると見られる。ブロードバンド・サービスの低価格化やサービスの充実,インターネットを利用するサービスの幅が広がるなど,そのための環境が着実に整ってきたからだ。これに対してより安全にインターネットを利用するために「インターネット全体でID情報を管理する仕組みが求められている」(ビゾズ氏)。こうした仕組みを実現するための要素として,ビゾズ氏はユーザーのコントロールと標準化,信頼性などに加えて信頼できるサード・パーティの存在を挙げている。

 ビゾズ氏は,基調講演後の会見でベリサインがSSL証明書の発行やDNSの運用などを手がけてきた実績を振り返り,「我々は12年間,他の企業ではできないことを手がける信頼できるサード・パーティであり続けた」と自負。インターネット全体のID管理についても「我々自身がIDのビューロー(事務所)になれるのではないか」との自信を示した。

日本法人の新社長を既に決定

 現在,日本ベリサインの会長でもあるビゾズ氏は,報道陣に対して「6月に新社長を発表する」と明言した。既に人選を終えており,「企業を成長させる能力のある人物を選んだ。非常に良い人材を得たが,名前などはまだ言えない」(ビゾズ氏)という。

 また,ビゾズ氏は「日本は米国以外で一番重要な市場だ」と強調。その上で,今後の日本市場での事業展開を,「日本の顧客をしっかりと理解しているパートナー企業に,我々のテクノロジを組み込んでもらう」と語った。