今回の事業には、キヤノン、セイコーエプソン、デル、日本ヒューレット・パッカード、ブラザー工業、レックスマークインターナショナルのプリンターメーカー6社と、日本郵政グループが参加している
今回の事業には、キヤノン、セイコーエプソン、デル、日本ヒューレット・パッカード、ブラザー工業、レックスマークインターナショナルのプリンターメーカー6社と、日本郵政グループが参加している
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回収ボックスのイメージ。全国の主要な郵便局に設置される
回収ボックスのイメージ。全国の主要な郵便局に設置される
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 プリンターメーカー6社と日本郵政グループは2008年4月8日、使用済みインクカートリッジの回収事業「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」を共同で開始すると発表した。現在、10%程度にとどまっている使用済みカートリッジの回収率をさらに上げるのが目的。プロジェクトに参加するプリンターメーカーは、キヤノン、セイコーエプソン、デル、日本ヒューレット・パッカード、ブラザー工業、レックスマークインターナショナル。

 当初は、全国の主要な郵便局3638局に回収箱を設置。使用済みカートリッジがいっぱいになった時点で回収する。回収した使用済みインクカートリッジは、セイコーエプソンの子会社であるエプソンミズベに集約し、メーカー別に仕分け作業を行う。その後、メーカーごとにリサイクルに回す。リサイクルは基本的にカートリッジを粉砕して再利用する「マテリアルリサイクル」となる。

 同プロジェクトでは、2007年11月から都内の郵便局11カ所で試験サービスを実施した。その実績によると、2007年末の回収数は1つの郵便局で月300個に上り、2008年に入ってからは月100個程度で推移しているという。プロジェクト事務局は「何も告知していない状況でこれだけの数を回収できているのは予想以上」としている。今後は、プリンターのカタログなども使い、ユーザーに告知を進めていく計画だ。

 現在、インクカートリッジの販売では再生業者が10%程度のシェアを持っている。これらの業者に対する影響については、「まだ80%もの使用済みインクカートリッジが回収されていないことを考えると、影響はないだろう」(プロジェクト事務局の担当者)と判断している。

 一般に使用済みインクカートリッジは一般ごみとして廃棄してしまうユーザーが多い。今回のプロジェクトはプリンターメーカーにとって、透明性の高いリサイクル事業を確立することで、環境に配慮した再資源化を促進する狙いがある。