日立製作所は米国時間2008年4月7日,米国・サンフランシスコで開催されたRSA Conference 2008の会場で,カナダのID管理ソフト会社,Mテック・インフォメーション・テクノロジー(Mテック)を買収したと発表した。買収金額は非公開。Mテックは社名を日立IDシステムズに変更し,主に欧米でID管理ソリューションを提供する。

写真1●元MテックCTO(最高技術責任者)で日立IDシステムズのCTOに就任するイダン・ショーハム氏
写真1●元MテックCTOで日立IDシステムズのCTOに就任するイダン・ショーハム氏
[画像のクリックで拡大表示]
 
写真2●日立製作所 情報・通信グループ サービス・グローバル部門CEOの山口光雄氏
写真2●日立製作所 情報・通信グループ サービス・グローバル部門CEOの山口光雄氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Mテックは,アクセス管理ソフト「ID-ACCESS」やパスワード管理ソフト「ID-SYNCH」などのID管理に関連するソフトを主力製品として販売。欧米を中心に700社以上の企業を顧客に抱える。元MテックCTO(最高技術責任者)で日立IDシステムズのCTOに就任するイダン・ショーハム氏(写真1)は,「ID管理によって,システムへのアクセスやパスワードで起こる問題,アカウント情報の整理が容易になるので,ITのオペレーション・コスト削減につながる」と,ID管理のメリットを強調。同社のID管理製品がユーザーのプロフィールや認証情報を管理するだけでなく,管理を容易にするための自動化やワークフロー機能,他のシステムと連携して使うために70以上のアダプタを提供していることなどを強みにしているという。

 ID管理は,個人情報保護やコンプライアンス対応のために情報システムのユーザー認証やアクセス権限管理を強化する用途で特に欧米でニーズが高まっている。日立はこうしたID管理市場の伸びに着目。既に欧米で多数の顧客を抱えるMテックを買収することによって,早期にID管理ソリューションを提供できる。日立の山口光雄 情報・通信グループ サービス・グローバル部門CEOは,「Mテックは顧客志向の製品,顧客基盤,利益重視の経営が強み。我々のブランド力やグローバルでの事業展開,技術力と合わせることによってシナジー効果を発揮できる」と語る(写真2)。

 日立はID管理を,基盤ミドルウエアと業務アプリケーションの中間の「付加価値ミドルウエア」として位置付ける。今後はID管理と他の情報システムとの連携や,ICカードや静脈認証と組み合わせたセキュリティ・ソリューションを提供する。
 


■変更履歴
「元MテックCEO(最高経営責任者)で日立IDシステムズのCEOに就任するギディオン・ショーハム氏」は「元MテックCTO(最高技術責任者)で日立IDシステムズのCTOに就任するイダン・ショーハム氏」の誤りでした。お詫びして訂正します。本文と写真キャプションは修正済みです。 [2009/04/09 09:15]