パソコン・メーカー大手の米Dellは2007年,経費節減と販売増加の実現,パソコン市場での首位奪還を目指す取り組みの一環として,8800人規模の人員削減を実施すると発表していた。ところが,同社CEOのMichael Dell氏は2008年4月第1週,この削減規模を予定より大幅に拡大することを堂々と発表したのだ。実際にDellは,現在8800人を上回る人員のレイオフを進めている。
同氏は4月3日に行ったアナリストとの会合で,「とてつもなく大きなチャンスが目の前にあると気付き,そのチャンスを積極的に追いかけることにした」と話した。「分かりやすく言うと,現在の業績に満足できていないし,不満足の要因を解消しなければならない。ここで概要を話す事柄がすべて実現すれば,削減人数は以前発表した8800人を超える」(同氏)。
Dell氏がこの発言をした際,拍手はパラパラとしか起こらなかった。Dellの社員も聴衆のなかにいたのだが,自分のスマートフォンで求人情報サイト「Monster.com」をこっそり覗いており,残りの話を聞き逃したのだろう。
Dell氏は「買収戦略は計画していない。成長戦略に取り組むだけ」と述べた。Dellは従業員を引き留める戦略も持っていないはずだ。