米Gartnerは米国時間2008年4月2日,「仮想化は2012年までの4年間を通じて,ITインフラや運用に変化をもたらす最も影響力のある技術トレンドになる」とするレポートを発表した。その中でGartnerは,仮想化技術がITインフラの管理,購入,展開,計画などを変化させると予測している。その結果,インフラ・ベンダー間で新しい競争が生まれるとしている。

 仮想化技術は,既にストレージやネットワークに導入されている。サーバーとパソコン分野ではさらに仮想化技術が普及しており,同技術の導入が進むにつれて企業によるITの活用が変化しているという。

 この変化が最も顕著なのがサーバー分野における仮想化だという。仮想化技術の導入により,既存のサーバー・アーキテクチャで十分に使われていない部分が活用できるようになる。Gartnerによれば,仮想化技術の影響で2006年のx86サーバー市場は6%縮小したという。競争の激化によりハイパーバイザー製品の価格が急激に低下するほか管理コストも下がるため,仮想化技術の影響力はさらに増すという。同社は2009年までに400万台の仮想マシンがx86サーバーにインストールされると予測している。

 パソコン分野においても仮想化技術の導入が急速に増加しつつある。仮想化技術を採用するパソコンの台数は500万台未満だったが,Gartnerは2011年までに6億6000万台に増えると見込んでいる。このほかにも,アプリケーションの仮想化も注目されているが,長期的にはマシンの仮想化のほうがより大きな影響力を持つとしている。

 GartnerのVice President兼Distinguished Analystを務めるThomas Bittman氏は次のようにコメントしている。「これまでは,OSがクライアントとサーバーのコンピューティングの中心だったが,新技術,新しいコンピューティング・モード,インフラの仮想化,自動化などにより,OSのアーキテクチャやその役割が変化している。モノリシック型の汎用OSの時代はもうすぐ終わるだろう」。

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■変更履歴
本文中,「モノシリック型の汎用OSの時代」という表現がありましたが,「モノリシック型の汎用OSの時代」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/04/18 11:40]