KOUZIROは,シンクライアント専用のノートPC型端末「FRONTIER FRSTシリーズ」を,2008年4月下旬に出荷する。モバイル・ノートPCをベースに,ハード・ディスクを排除するなどしてセキュリティを高めた。CPUに低消費電力型のIntel A110を採用し,Windows XP Embeddedを1Gバイトのフラッシュ・メモリーに搭載する。

 FRONTIER FRSTシリーズは,ノートPCのきょう体を持つシンクライアント専用端末である。米Citrix SystemsのICAと,米MicrosoftのRDPの両方のプロトコルに対応し,サーバー上で稼働するアプリケーションの画面情報をネット経由で受け取ってディスプレイに表示する。ローカルOS上でInternet Explorerを動作させる運用も可能だ。

 OSは,組み込み用途に機能を限定したWindows XP Embeddedであり,これを1Gバイトの読み出し専用のフラッシュ・メモリーに搭載する。ハードディスクを搭載しないため,消費電力を抑えられるほか,データの保存ができないため,万一,端末を紛失しても情報漏洩の心配がない。メインメモリーはフラッシュと同容量の1Gバイトを搭載する。

 FRONTIER FRSTシリーズの特徴の1つは,低消費電力であることだ。端末全体での消費電力は9.5ワットという。バッテリ駆動時間は,連続で10時間をうたう。CPUは,TDP(Thermal Design Power)が3ワットと低い米IntelのA110(動作周波数800MHz)である。

 ノートPCと比べたシンクライアント専用端末の利点としては,ディスクを備えないことによる情報漏洩の防止や低消費電力化のほか,組み込み用OSの搭載によるメンテナンス負荷の軽減が挙げられる。Windows XPのサブセットであるEmbedded版を搭載するため,フルセットのWindows XPと比べて,セキュリティ・パッチなどのパッチを当てる頻度が少なくて済む。OSを格納したフラッシュ・メモリーは原則として読み出し専用であり,パッチを当てる際にも,エンドユーザー自身がOSイメージを更新する必要がないという。

 本体ボディーの仕様は以下の通り。外形寸法は,幅296×奥行209×高さ12.5~30.8mm。重さは約1.35kg。液晶ディスプレイは12.1型ワイドで解像度はWXGA(1280×800ドット)。バックライトはLED。標準で液晶保護フィルムが張り付けられている。キーボードは,キー・ピッチ(キーの間隔)が17.53mm,ストロークが2.4mm。キーボードは耐水型であり,100mlの水をこぼしても大丈夫としている。ポインティング・デバイスはタッチ・パッド。ボディーはマグネシウム合金で,最大加圧で120kgに耐えられるという。

 各種I/Oインタフェースやセキュリティ機能は,以下の通り。生体認証用の指紋センサー,ICカード(スマートカード)スロット,PCカード・スロット,USB 2.0×3ポート,1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-Tネットワーク・ポート(RJ-45),IEEE 802.11 a/b/g無線LAN,56kビット/秒アナログ・モデム,外部アナログ・ディスプレイ接続用ポート(D-Sub 15ピン),カード・リーダー(SD,メモリースティックほか)など。本体内にセキュリティチップ(TPM)を搭載する。

 価格は,100台までの小ロット導入時に1台あたり17万円超と,同形状の同社ノートPC(12万円台)よりも高めの設定となる。