図1 ウイルスが表示する料金請求画面(IPAの発表資料から引用)
図1 ウイルスが表示する料金請求画面(IPAの発表資料から引用)
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図2 ワンクリック詐欺に関する相談件数の推移(IPAの発表資料から引用)
図2 ワンクリック詐欺に関する相談件数の推移(IPAの発表資料から引用)
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 セキュリティに関する相談や被害届けを受け付ける情報処理推進機構(IPA)は2008年4月2日、2008年3月中に寄せられた、ワンクリック詐欺(ワンクリック不正請求)に関する相談件数を公表した。それによると、ワンクリック詐欺犯の逮捕によって減少傾向だった相談件数が、3月になると一転して急増。1カ月で157件に達したという。

 ワンクリック詐欺とは、インターネットを悪用するオンライン詐欺の一種。Webサイトに置かれた画像やアイコン、リンクなどをユーザーがクリックしただけで有料サイトに登録したとみなし、払う必要のない料金を請求する詐欺のこと。

 ワンクリック詐欺サイトの中には、動画ファイルなどに見せかけてウイルス(悪質なプログラム)を実行させようとするところもある。だまされて実行してしまうと、ウイルスは画面上に料金請求を表示(図1)。パソコンを著しく使いづらくして、料金を支払わせようとする。

 2005年後半以降、IPAにはワンクリック詐欺の相談が多数寄せられている。2006年5月には200件を超え、2007年3月には300件超を記録。そして10月には、過去最多となる369件の相談が寄せられた。

 しかし、2007年11月から急激に減り始めた。原因の一つは、ワンクリック詐欺犯が同月に初めて逮捕されたためだと考えられる。相談件数は、2007年11月には264件、12月には43件、2008年1月には28件、2月には25件と減っていった。

 ところが、2008年3月には再び急増。前月の6倍以上となる157件の相談が寄せられた(図2)。理由としてIPAでは、「ほとぼりが冷めてきたため」と分析している。

 今後も、ワンクリック詐欺サイトは増えると予想される。このため、「信頼できないサイトにはアクセスしない」「信頼できないファイル(プログラム)はダウンロードしない」「請求画面が表示されても、お金を振り込んだり、相手に問い合わせをしたりしない」――などが重要だ。