リンクとエーティーワークスは2008年3月末、両社が共同提供するホスティング・サービス「AT-LINK 専用サーバ・サービス」(at+link)に仮想化ソリューションを追加した。用意したサーバー上に、仮想化ソフトの「Xen」または「Virtual Iron」を使い、仮想環境を構築するサービス。仮想サーバーを貸し出すのではなく、物理サーバーを丸ごと仮想化して提供することが、他のホスティング・サービスの仮想化と異なる。

 「これまで見かける仮想化ホスティングは、1台のサーバー機を仮想サーバーに小分けして、それぞれ提供するもの。これに対して“仮想化ソリューション”は、サーバーそのものを仮想化して提供する」(リンクの岡田元治 取締役 社長)。仮想化ソリューションは、サービス・レベルが低い方から、(1)Red Hat VPS、(2)Single Server VPS、(3)HA VPSを用意。(1)はXenを、(2)(3)はVirtual Ironを使う。

 (1)は、1台のサーバー上でRed Hat Enterprise Linux(RHEL)に組み込まれたXenを利用する。ホストOSとしてRHELのライセンスが1つあれば、仮想サーバー上のゲストOSとして4つまでのRHELが無償で利用可能。

 Xenには「完全仮想化」と「準仮想化」の2つのモードがあり、前者であればゲストOSとしてWindowsなども稼働させられる。ただし、「完全仮想化はまだ性能面が弱い。そのため、Red Hat VPSでは準仮想化とLinuxの組み合わせを薦める」(エーティーワークスの永井浩和 取締役副社長)。

 Virtual Ironは、米バーチャルアイアンがXenを拡張した製品。独自のドライバによりI/O性能を向上させるとともに、GUI管理ツールなどを加えた。(2)は1台のサーバーとVirtual Ironで仮想環境を構築する。仮想サーバー上でWindowsを稼働させ、GUIで管理するような使い方ができる。

 (3)は、(2)の上位に位置するサービス。Virtual Ironを導入したサーバーを複数台用いてサーバー全体の可用性を高めた。サーバー機の間で、稼働中の仮想サーバーをオンライン状態で別のサーバー機に移動させる機能「LiveMigrate」が利用できる。この機能は、サーバー機の障害時にフェールオーバーで使うほか、サーバーの計画停止時などにも役立つ。

 仮想化ソリューションの利用料金は、初期費用が2万1000円~。月額の利用料金は、上記(1)~(3)のサービス・レベルや仮想サーバーの数などで異なる。