IDF上海が開催される上海インターナショナル・コンベンション・センター
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ケビン・カーン シニア・フェロー兼コミュニケーションズ技術ラボ ディレクター
ケビン・カーン シニア・フェロー兼コミュニケーションズ技術ラボ ディレクター
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携帯機器の将来像の例。デジカメで建物を撮影すると、その建物に関連した情報を表示する
携帯機器の将来像の例。デジカメで建物を撮影すると、その建物に関連した情報を表示する
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画像認識の機能を進めていけば、Webカメラの映像を分析して、個人のニーズに合わせた情報を表示することも可能
画像認識の機能を進めていけば、Webカメラの映像を分析して、個人のニーズに合わせた情報を表示することも可能
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 米インテルは2008年4月2~3日、プロセッサーの新技術などを披露する開発者会議「Intel Developer Forum(IDF)」を中国・上海で開催する。今回のIDFでは、小型パソコンや情報端末に向けた新型CPU「Atom」をはじめ、プロセッサー内部の構造を一新した次世代CPU「Nehalem(ネハレム、開発コード名)」などの詳細を公表する。

 開催前日の4月1日、同社は将来を視野に入れて取り組んでいる研究・開発の項目について報道向け説明会を開いた。登壇したケビン・カーン シニア・フェロー兼コミュニケーションズ技術ラボ ディレクターが携帯機器の技術について説明した。

 カーン氏は、現状の携帯電話や携帯端末では、利用できるアプリケーション、ネット接続、操作性において制限が多く、十分満足できる状態ではないと指摘。こうした問題を解消するために「Carry Small, Live Large(CSLL)」という言葉で、目指す方向性を示した。「Carry Small」は高い処理性能を持つ小型機器を持ち歩くということ、「Live Large」はネット接続の安定性とさまざまな機器との連携機能でユーザーの用途を拡大することを示す。

 このCSLLを実現するための具体的な取り組みとして、機器の周囲の情報を認知して自動的に関連情報を取り出す技術を開発しているという。例として、デジタルカメラで風景を撮影すると、GPS情報を参照してそこに写っている建物を自動認識。その建物の説明を画面に出す機能をデモをした。

 続いて登壇したアンドリュー・チェン副社長 兼 コーポレート技術グループ インテルリサー チ ディレクターは、センサーで外部情報を分析し、我々の生活や仕事に役立つ情報を自動的に取り出す機能を説明した。同社では、これを「Everyday Sensing and Perception(ESP)」と呼んでいるという。

 例えば、リビングルームに置いたWebカメラが家族の様子をとらえ、その映像をパソコンが分析し、子供がお菓子を食べ過ぎていたら健康面の忠告をテレビ画面に出す。また、親がリモコンを持っていたらお薦めの番組を画面に出すといった用途が考えられる。カメラ、パソコン、テレビは互いに無線でつながっている。

 最終的には、パソコンを介さなくても、携帯機器自身が映像を認知し、関連情報を抽出できる状態を目指す。このためには「強力な処理性能が必要で、大きな電力も必要となるが、将来は1W以下の携帯機器で実現したい」(チェン氏)と意欲を見せた。

 機器の小型化、低消費電力化を目指すために、無線LANやWiMAXといった無線機能を1チップに統合する技術の開発も進めている。詳細はクリシュナムティ・ソーミャ コーポレート技術グループ フェローが説明した。現状のパソコンや携帯機器は、CPUのほかにI/O制御、無線などの機能を別チップで提供している。省電力化のためには「これら別々だったプラットフォームが1つのチップになるべき」(ソーミャ氏)と統合化を進める方針を掲げた。まずは無線LAN、WiMAX、携帯電話の通信機能などを統合したチップを開発し、将来的にCPUやI/Oチップの統合も進めていく。