NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2008年4月1日、首都圏の5カ所のデータセンターで、いわゆる「18号報告書」を取得したと発表した。18号報告書は、委託業務について内部統制の整備・運用状況を示す文書。日本公認会計士協会(JICPA)が公表している監査基準に基づいて、監査法人が作成する。18号報告書の対象となったデータセンターを利用している企業は、日本版SOX法(J-SOX)に対応する際に、NTTコムから18号報告書を受け取ることで、委託先に対する内部統制の整備・運用状況の監査を省略できる。

 18号報告書を取得したのは東京都千代田区、中央区、江東区、横浜市、埼玉県のデータセンター。各データセンターで提供しているコロケーション・サービスが対象である。コロケーション・サービスはデータセンターのスペースを貸し出し、ユーザー企業が所有するサーバーを設置するサービス。NTTコムが18号報告書の対象としたのは、定期的な稼働確認やテープ交換・世代管理、定期リブートといった業務となる。3月31日付けで新日本監査法人より取得した。

 NTTコムは、各データセンターを利用している顧客のうち、J-SOX対応の対象になっている顧客から要望があった場合に18号報告書を有償で提供する。提供料金は「顧客ごとの個別交渉になっており、詳細は決まっていない」(NTTコム)という。NTTコムは、専用ホスティング・サービス「AGILIT」についても08年6月までに18号報告書を取得する見込みとしている。

 18号報告書は、日本公認会計士協会の公表している「監査基準委員会報告第18号『委託業務にかかる統制リスクの評価』」に基づいた監査の結果を示した報告書を指す。J-SOXでは、対象となる業務プロセスのうち、外部委託した業務の内部統制の整備・運用状況は委託元が評価することが義務付けられている。委託先の企業が18号報告書を作成していない場合、委託元の企業は自ら委託先に評価に出向く、といった対応が必要になる。