「Atom」の位置付け。一般的なデスクトップPCやノートPCはCore 2ブランドでカバーする。携帯情報端末や安価なPCにAtomを使う。
「Atom」の位置付け。一般的なデスクトップPCやノートPCはCore 2ブランドでカバーする。携帯情報端末や安価なPCにAtomを使う。
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Atomの特徴。わずか25平方ミリメートルに、Core 2とほぼ同じ機能を詰め込んだ。
Atomの特徴。わずか25平方ミリメートルに、Core 2とほぼ同じ機能を詰め込んだ。
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Atomのマイクロアーキテクチャーの特徴。Core 2の「Coreマイクロアーキテクチャー」とは全く異なる、新設計のシンプルな構造だ。
Atomのマイクロアーキテクチャーの特徴。Core 2の「Coreマイクロアーキテクチャー」とは全く異なる、新設計のシンプルな構造だ。
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Atomと組み合わせて使うチップセット「システム・コントローラー・ハブ」。メモリーコントローラーとグラフィックス機能、各種I/Oコントローラーを1チップにした。
Atomと組み合わせて使うチップセット「システム・コントローラー・ハブ」。メモリーコントローラーとグラフィックス機能、各種I/Oコントローラーを1チップにした。
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システム・コントローラー・ハブを使った接続例。平均消費電力は600ミリ~800ミリWだという。
システム・コントローラー・ハブを使った接続例。平均消費電力は600ミリ~800ミリWだという。
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Atomのパイプライン構造。16ステージで、より高い周波数での動作も見込めるとしている。
Atomのパイプライン構造。16ステージで、より高い周波数での動作も見込めるとしている。
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2009年に投入予定の「Moorestown」プラットフォーム。演算部分とメモリー制御、グラフィックス機能を1チップにした「LINCROFT」というCPUが中核になる。
2009年に投入予定の「Moorestown」プラットフォーム。演算部分とメモリー制御、グラフィックス機能を1チップにした「LINCROFT」というCPUが中核になる。
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Moorestownではさらに消費電力を抑えて、スマートフォン市場も狙う。
Moorestownではさらに消費電力を抑えて、スマートフォン市場も狙う。
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 インテルは4月2日、携帯機器向けのCPU、Atom Z500シリーズを正式に発表した。「Silverthorne(シルバーソーン)」の開発コード名で呼ばれていたCPUで、3月3日にブランド名と製品の概要を明らかにしていた。Atomを利用したプラットフォームのブランド名は「Centrino Atom」。Atomとチップセットの「システム・コントローラー・ハブ」、ワイヤレス機能を実装してバッテリー駆動可能な携帯型機器であることがブランド名使用の条件となる。インテルはこのプラットフォームやAtom Z500シリーズを、手のひらサイズの情報端末である「MID(Mobile Internet Device)」や超小型のノートPC「UMPC(Ultra Mobile PC)」、低価格PC用として売り込んでいく。

 Atom Z500の最大の特徴は、仮想化機能(Virtualization Technology)や拡張命令のSSSE3などパソコン向けで主力のCore 2シリーズと同じ命令セット/機能を持ちながら、TDP(Thermal Design Power、熱設計電力、実使用時の最大消費電力相当)を大幅に削減した点。デスクトップパソコン向けのCore 2 DuoのTDPが65W、ノートパソコン向けでも35Wなのに対し、Atom Z500シリーズは0.6~2.4Wとなる。さらに使用時の平均消費電力は「数百mW」(インテル)だという。

 2007年春に小型機器向けとしてインテルが発表した「Ultra Mobile Platform 2007」は、既存のノートPC向けのCPUやチップセットを小型化、低消費電力化したものだったが、Atom Z500はマイクロアーキテクチャー(CPU内部の命令の流れ)を設計し直した全く新しい製品だ。この見直しにより消費電力を削減した。パソコン向けCPUで一般的な、「アウト・オブ・オーダー」(命令の取り込み順にかかわらず、実行できる命令から発行する仕組み)ではなく、少ないトランジスターで実装できるシンプルな「インオーダー」方式を採用した。

 Atomでは2個の命令を同時にデコード(解釈)して実行ユニットに発行可能。128ビットのSIMD(Single Instruction Multiple Data)整数演算や、64ビットのSIMD、浮動小数点のかけ算を行える実行ユニットも備えている。1次キャッシュは命令用が32KB、データ用が24KB。2次キャッシュは512KB。パソコン向けCPUと同様にプリフェッチ(命令やデータの先読み)機能も搭載する。2個のスレッド(プログラムの実行単位の一種)を同時に実行する「Hyper-Threading」を備えており、OSからは2個のCPUがあるように見える。FSB(Front Side Bus)は400MHzまたは533MHz。パイプラインは16ステージで、より高い動作周波数の製品も実現できるという。