NTT東西がNGN(次世代ネットワーク)を活用して提供する商用サービスのうち,企業向けサービスには,センター回線型のVPN(仮想閉域網)サービス「フレッツ・VPNゲート」と,広域イーサネット・サービスの「ビジネスイーサ ワイド」の2種類がある。いずれも3月31日から提供開始する。

 フレッツ・VPNゲートは,センター側に用意した回線に,複数の東日本エリア(NTT西日本の場合は西日本エリア)の拠点から安全にアクセスできるようにするVPNサービス。ユーザーのサーバーなどをNTT東西が用意するフレッツ・VPNゲート専用回線に接続し,拠点側は「フレッツ 光ネクスト」を導入してNGN網経由でアクセスする。既存の地域IP網を使ったサービスでは,「フレッツ・オフィス/オフィス ワイド」として提供していた。

 今回の発表では,提供料金の詳細が明らかになった。センター回線にアクセスする拠点を,同一県内だけに限るか,東日本/西日本エリア全体を対象とするかで料金水準が変わる。

 センター側が100Mビット/秒の場合,県内限定は月額57万7500円。東日本/西日本エリア全体の場合,月額160万6500円である。センター回線に1Gビット/秒インタフェースを導入すれば,契約速度を100Mビット/秒単位で1Gビット/秒まで選べる。加算料金は,100Mビット/秒ごとに県内限定が月額6万9300円,東日本エリアが36万6000円(西日本エリアは109万8300円)となる。

 既存サービスのフレッツ・オフィスでは,例えば東日本/西日本エリア対象の100Mビット/秒のセンター回線は月額190万円前後かかっていた。NGNサービスの方が約30万円安くなっている。センター側回線は,(1)NTT東日本ビル内のハウジングスペースにユーザー設備を持ち込む場合と,サービス提供エリア内で,(2)ユーザーのネットワークに接続する場合の2種類の接続形態がある。(2)の場合,月額料金に2万1000円を上乗せする。提供エリアは当初,東京,神奈川,千葉,埼玉の一部地域のみ。順次拡大する。

新しい広域イーサは県間通信と東西間の通信が可能に

 イーサネット機器を接続できるWANサービスとしては,「ビジネスイーサ ワイド」を新たに提供する。提供エリアは,当初は東京都内と大阪市の一部地域のみ。既存サービスの「ビジネスイーサ シリーズ」と比べると,県境をまたぐ県間通信と,NTT東西間の相互接続が可能になっているのが特徴である。

 また,オプション・サービスとしてアクセス回線と回線終端装置を冗長化する「デュアルアクセス」が新たに加わり,ユーザーが指定した優先順にデータを送り出すQoS(quality of service)機能が,これまでの3段階から4段階で指定できるようになった。

 アクセス回線の速度品目は1M,10M,100M,1Gビット/秒の4種類。料金は,(1)ネットワークを構成する拠点ごとに必要となる回線終端装置利用料,(2)アクセス回線利用料,(3)収容局グループごとに必要な中継設備利用料,(4)県内で複数の収容局グループ間を結ぶのに必要となる県内中継回線利用料,(5)複数の県に拠点がまたがる場合に必要な県間中継回線利用料,(6)東西間を結ぶのに必要な事業者間中継回線利用料---を合算して算出する。

 料金は東日本地域の場合,(1)が100Mビット/秒品目で月額1050円,1Gビット/秒品目で月額5250円,(2)が100Mビット/秒品目で月額4万2000円,(3)がアクセス回線の合計1Gビット/秒ごとに月額10万5000円,(4)が100Mビット/秒品目で月額12万6000円,(5)が100Mビット/秒品目で月額63万円,(6)が100Mビット/秒品目で月額52万5000円など。既存サービスと比べると県内利用部分が多少安くなる。

■修正履歴
当初,(2)の料金を「100Mビット/秒品目で月額4200円」と誤って記載していましたので,訂正しました。また,(1)の回線終端装置は(2)のアクセス回線と併せて提供されるもので,速度品目は必ず同じになります。このため,回線終端装置利用料に100Mビット/秒品目の料金を追記しました。  [2008/3/28]

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