KDDI(au)と京セラは2008年3月28日、京セラが製造しKDDIが販売する「W42K」のバッテリーパックに不具合があったと発表した。バッテリーパックに強い衝撃が加わると、発火や破裂の恐れがある。KDDIに契約中のW42Kユーザー21万4349人を対象に、バッテリーパックの交換を呼びかける文書を送付する。
原因は、バッテリーパック内のバッテリーセルの製造元であるNECトーキンの設計ミス。ただし、発火や破裂などの報告が2007年10月から毎月KDDIに届いていたにもかかわらず、いったん「問題なし」と判断したことで、その後の被害が拡大。不具合発表までに、3件のやけど、2件の火災を含む13件の事故を起こすに至った。
バッテリーパックの交換対象は、W42K用のうち製造番号が「KY-YDA」であるものを除くすべて。具体的には表1の通り。「発売当初搭載していたKY-YDAの品種は問題ないが、その後の品種についてNECトーキンから『納期短縮を図るため設計変更したい』との申し出があり受け入れた。この設計変更後の品種が回収対象となる。おおむね18万人程度が対象となるだろう」(京セラ 執行役員の山本康行氏)。
交換を呼びかける文書は、3月29日以降2週間ほどかけ、交換対象とみられるバッテリーパックを使用していると推測されるユーザーに対し優先的に送付する。ただし、既に機種変更済みのW42Kユーザーは送付対象外。機種変更後もW42Kを使い続けている場合は、ユーザー自身で確認する必要がある。
発表が遅れた原因については、「2007年12月までに3件の事故が起こり調査したが、傷やへこみがあったことから個別の事象と判断していた。その後、2008年1月に3件の事故が報告されたことから改めて調査し、3月14日になってバッテリーパックに問題があることが分かった。その後、交換用バッテリーパックを用意してから公表しようと考えたため、原因の把握から公表までに2週間かかってしまった」(KDDI 執行役員常務の井上正廣氏)と釈明している(表2)。
問題の有無 | 製造番号 |
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不具合あり | KY-YEA、KY-YFA、KY-YGA、KY-YHA、KY-YIA、KY-YJA、KY-YKA、KY-XDA、KY-XEA、KY-XFA、KY-XGA、KY-XIA、KY-XLA、KY-WAA |
不具合なし | KY-YDA |
事象 | 発生日 | 発生場所 | 事故内容 |
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1 | 2007年10月19日 | 愛知 | 充電中にバッテリーパックが破裂、床が焦げる |
2 | 11月20日 | 北海道 | ジャージのポケットに入れていたところ発火。ユーザーが足で踏んで消そうとして足にやけど |
3 | 11月28日 | 大分 | 充電中にメールを打っていたらバッテリーパックが破裂 |
4 | 2008年1月10日 | 青森 | 充電中にバッテリーパックが破裂、床が焦げる。ユーザー(女性)が左肩に全治1週間のやけど |
5 | 1月21日 | 神奈川 | 充電中にバッテリーパックが破裂・発火 |
6 | 1月23日 | 東京 | 充電中にWebを閲覧していたら発熱・膨張し破裂 |
7 | 2月8日 | 茨城 | 充電中にバッテリーパックが焼損 |
8 | 2月16日 | 愛知 | Webを閲覧していたらバッテリーパックが破損 |
9 | 2月13日 | 神奈川 | 卓上ホルダーで充電中にバッテリーパックが破裂 |
10 | 3月9日 | 岩手 | バッテリーパックが発煙 |
11 | 3月7日 | 千葉 | 充電中にバッテリーパックが破裂 |
12 | 3月17日 | 秋田 | 充電中にバッテリーパックが破裂 |
13 | 3月18日 | 宮城 | バッテリーパックが発熱し、ユーザー(男性)が右太ももにやけど |