NHKと地上波民放事業者,総務省が組織する「全国地上デジタル放送推進協議会」は2008年3月28日,集合住宅の管理組合など非営利の共聴設備運営団体が地上デジタル放送の区域内再送信を円滑に開始できるようにするための具体策を明らかにした。情報通信審議会情報通信政策部会の「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」で全国協議会の関係者が説明した。2012年末までの期間限定措置として,(1)再送信同意の申請を不要にする,(2)再送信同意の申請を受けた地上波放送事業者は速やかに同意を行う――のいずれかの措置を講じるというものだ。地上波放送の区域内再送信のみを手がける共聴設備運営団体のうち,送信先が同一建築物のみの団体か,再送信先が51端子以上500端子以下である団体が対象になる。営利目的のケーブルテレビ(CATV)事業者や,非営利であっても区域外再送信を手がける共聴設備運営団体は,引き続き地上波放送事業者から従来通りの手続きを踏んで同意を受ける必要がある。

 現在は有線テレビジョン放送法(有テレ法)第13条の規定により,CATVで地上波放送の再送信を行う場合は,地上波放送事業者から再送信同意を得ることが義務付けられている。集合住宅の管理組合が複数の居住者に地上波放送を再送信するなど,非営利目的であってもこの規制は適用される。このため集合住宅や難視聴地域の世帯など,共聴設備経由で地上波放送を視聴している世帯の地上アナログ放送から地上デジタル放送への移行が,この規制によって阻害されることが懸念されている。これを受けて全国協議会は,集合住宅の管理組合などが共聴設備による地上デジタル放送の再送信を速やかに実施できるようにするための手法や条件について,2007年度中に具体的条件を示すことになっていた。