米Rambusは米国時間2008年3月26日,メモリー規格の策定作業時に詐欺的行為を働いたと複数のDRAMメーカーから訴えられている係争において,「Rambusの行動に問題はなかった」との陪審評決を得たと発表した。

 Rambusによると,韓国Hynix Semiconductor,米Micron Technologies,台湾Nanya Technologyは,半導体業界団体EIAの下部組織Joint Electron Device Engineering Council(JEDEC)が1990年代初めDRAM規格化を行った際,Rambusに不正行為があったと主張している。これに対し,陪審団はRambusの行動を適切と認定し,原告側に提訴する理由がないと判断した。

 RambusはHynix,Nanya,Micronのほか,韓国のSamsung Electronicsとも特許侵害の問題で争っている(関連記事:「昨日の友は…」,米Rambusが韓国Samsungを特許侵害で提訴)。

 RambusとHynixの係争は,2000年8月にHynixがRambusを訴えたことに始まる。

 その後カリフォルニア州北地区連邦地方裁判所の陪審団は2006年4月にRambus特許の有効性とHynixによる特許侵害を認め,Rambusの受け取る損害賠償額を3億690万ドルと算出した(関連記事:米Rambusの特許侵害訴訟,韓国Hynixに約3億ドルの賠償命令)。同地裁の判事は賠償額を1億3360万ドルに減らすよう求め,Rambusはこれに受け入れた(関連記事:Rambusの特許侵害訴訟,Hynixの損害賠償額を1億3360万ドルに減額)。

 ただし,米連邦取引委員会(FTC)が「Rambusは違法な手段でDRAM市場を独占している」との見解を表明したため(関連記事:米連邦取引委員会,「Rambusが違法な手段でDRAM市場を独占している」と判断),同地裁は審理進行を一時停止(関連記事:RambusとHynixの特許侵害訴訟,連邦地裁が審理を一時停止)。FTCは2007年2月,DRAM技術を他社にライセンス供与することや,ロイヤルティに上限を設定することなどを米Rambusに命じた(関連記事:米連邦取引委員会,DRAM技術のライセンス供与をRambusに命令)。

 また欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は2007年7月,RambusがDRAM分野の独占的地位を乱用し欧州競争法(EC Treaty)第87条に違反しているとして,同社に異議声明(Statement of Objections)を送った(関連記事:EC,Rambusの“特許による待ち伏せ”を指摘する異議声明を送付)。

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