大手ケーブルTV事業の米Comcastとピア・ツー・ピア(PtoP)ファイル共有ネットワークの米BitTorrentは米国時間2008年3月27日に,デジタル・コンテンツ配信のネットワーク管理に関して協力すると発表した。トラフィックのフィルタリング問題で対立していた両社が歩み寄ったかたちだ。

 米メディアの報道(New York Times)によると,昨年10月にBitTorrentユーザーがパフォーマンスの遅延を報告したことから,Associated Pressの調査により,ComcastがBitTorrentのトラフィックをフィルタリングしていたことが発覚した。Comcastは一貫して正当性を主張し,今年2月に開かれた連邦通信委員会(FCC)の審問では,「ISPは,ヘビー・ユーザーのバンド幅使用を抑制して,他のユーザーが速度低下の影響を受けないように,管理を行う必要がある」と述べていた。しかし,世間の批判とFCCの追及を受け,方針変換を図ったもよう。

 ComcastとBitTorrentは直接対話したほか,他社を含めた交渉も進めているという。両社は,これら技術的な問題は,政府の介入無しに,企業間の話し合いを通じて解決できるとする見解を示した。

 ComcastはBitTorrentとの協議の結果,年内にネットワーク・キャパシティ管理をプロトコル非依存型の手法に移行する事を決定した。Comcastケーブル事業のCTOを務めるTony Werner氏は,「当社のネットワーク管理システムを早急に再構築し,現在のインターネットの傾向により適したトラフィック管理が行えるようにする」と説明した。

 BitTorrentは,特にピーク時などのネットワーク・トラフィック管理においてISPの必要性を認めた上で,「Webはかつてないほど広いバンド幅を必要とするほどリッチになっている。Comcastがこうしたトラフィック・パターンの変化を認識し,インターネット・コミュニティにとってより透明性の高いシステムに移行するために,当社との協力を望んでくれたことに満足している」(同社CTOのEric Klinker氏)と述べた。

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