新しくなったPhenomのロゴ。半年たたずに主力製品の命名ルールを変更した
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 AMDは3月27日、デスクトップPC向けCPUの新製品3シリーズ、7モデルを発表した。キャッシュ周りの不具合(エラッタ)を改善したクアッドコアCPUのPhenom X4 9000シリーズ、低消費電力版のクアッドコアCPUであるPhenom X4 9100e、トリプルコアのPhenom X3 8000シリーズだ。いずれもコアの設計は既存のPhenomと同じで、1次キャッシュは命令とデータをそれぞれ64KB持ち、2次キャッシュを512KB備える。CPU全体で共有する3次キャッシュは2MB搭載する。対応メモリーはDDR2-1066まで。製造プロセスは65nmで、パッケージはSocket AM2+。

新9000シリーズはキャッシュ周りの不具合を改善した

 新しいPhenom X4 9000シリーズは4モデルある。最上位は2.5GHz動作の9850 Black Editionで、通常のCPUでは固定になっている動作周波数の倍率を可変にした。規定外の周波数で動かす、いわゆる「オーバークロック」が容易なマニア向けモデルだ。TDP(Thermal Design Power、熱設計電力、実使用上の最大消費電力)は125W。

 9850 Black Editionの下のモデルは2.4GHzの9750。TDPは2種類あり、大手メーカー製向けの出荷分は95W、店頭販売向けは125Wになるという。9850、9750ともに動作電圧は1.2~1.3V。さらに既存のPhenom 9600、同9500のマイナーチェンジとなる、Phenom X4 9650(2.3GHz)、同9550(2.2GHz)がある。TDPはいずれも95W。チップセットと接続するHyperTransportは、9750/9650/9550が従来と同じ3.6GHz(1.8GHzのDDR)で、9850のみ4GHz(2GHzのDDR)となっている。

 Phenom X4 9x50シリーズの特徴は、Phenom 9600、同9500に存在した重大なエラッタを修正した「B3 Stepping」である点。Phenom 9600、同9500はAMDが「B2 Stepping」と呼んでいたバージョンで、仮想化支援機能を使っているときなどにキャッシュ関連の情報に不整合が生じる問題があった。マザーボードメーカー各社はエラッタを回避するためのBIOSを提供していたが、修正を適用すると主にメモリー周りの性能が低下してしまう。

 9850 Black Editionの価格は、PCメーカーなどに出荷する1000個ロット時に235ドル。9750は215ドル。9650は9750と同じ215ドルになっている。9550は209ドル。発売時期について日本AMDは「9850、9750は発表後間もなく発売する。9650と9550は、発売自体は確定しているが時期は未定」としている。国内市場では9850が3万円前後、9750が2万円台後半で販売されるとみられる。