NECと日立製作所は2008年3月27日,企業システムへのオープンソース(OSS)ミドルウエアおよびLinuxの適用拡大に向け協業すると発表した。両社でOSSミドルウエア関連ツールの開発や検証,相互導入,およびLinuxカーネル障害解析機能の共同開発を行う。

 OSSミドルウエアに関しては,PostgreSQL,MySQL,JBoss,Tomcatなどを利用したシステムの運用を支援するツールの共同検証や,開発,相互導入を実施する。当初は,NECのOSSデータベースメンテナンスツール「InfoFrame DB Maintenance」の日立への導入,日立の統合システム運用管理「JP1」とNECのOSS データベース監視ツール 「InfoFrame DB Monitor」の連携機能の開発などを行う。順次,範囲を拡大するとしている。 

  Linuxカーネルに関しては,障害発生時の処理経過をトレース情報として採取するカーネルトレース機能を共同で開発する。具体的には,必要な時にのみトレース情報を採取する機能(動的なトレースのON/OFF)や,採取するトレース情報を定義する機能(トレーススクリプトのローディング),トレース情報の採取にかかるオーバーヘッドを低減してシステム性能に与える影響を最小限にする機能などの機能強化を行う。SystemTapをベースに開発する。これらの開発成果は両社からユーザーに提供していくとともに,Linuxカーネル・コミュニティにも還元していく。

 NECと日立は,2001年から富士通および日本IBMとともにカーネルトレース機能LKST(Linux Kernel State Tracer)やダンプ機能を開発しオープンソースとして公開している。NECと日立の両社は,今回の取り組みに賛同する企業があれば,協業範囲を拡大していくとしている。