NTTドコモとミツミ電機は2008年3月24日、携帯電話のバッテリーパックに組み込む自己診断機能を共同開発することを発表した。ミツミ電機が既に商用化している、リチウムイオン電池向けの保護回路モジュールに、電池の自己診断機能を追加する。バッテリーパックの破損や異常発熱といった異常や経年劣化などを、ユーザーが確認しやすくすることで、携帯電話の安全性向上を図る。

 一般にリチウムイオン電池を電子機器に組み込む際には、異常電圧・電流の印加や過充電を検知して回路を遮断するために、電池と共に保護回路モジュールをバッテリーパック内に集積している。この保護回路モジュールを機能拡張し、(1)異常電圧・電流や過充電が発生したことをディスプレイに表示する「電池故障診断」、(2)電池容量とその劣化状況を基にバッテリーパックの交換時期を予測・表示する「電池劣化診断」、(3)電池の充電残量を基に残りの待ち受け可能時間・通話可能時間を予測・表示する「電池残量計測」、(4)バッテリーパックの製造日時などロット識別に必要な情報を表示する「各種情報管理」――の4機能を盛りこむ。

 ユーザーにとっては、(1)携帯電話を床に落とすなどした際に、バッテリーパックに異常が発生していないか、(2)電池残量の減り方が早くなったと感じたときに、どの程度経年劣化しているか、いつごろ交換すべきか、(3)外出先などでしばらく充電が難しい状況にあるとき、充電をせずにあとどの程度携帯電話を使い続けられるか――などを、ユーザー自身で確認できるメリットがある。

 NTTドコモはこうした自己診断機能に関するこれまでの研究の状況を、ミツミ電機は自社製の保護回路モジュールをそれぞれ持ち寄る。両社の共同開発は2008年12月までの予定としており、「商用化の可否は、開発完了後速やかに議論し判断する」(NTTドコモ広報部)という。なお、共同開発にまつわる投資額は「ミツミ電機との間で機密保持契約を交わしているため、明らかにできない」(NTTドコモ広報部)としている。