米MozillaのCEOを務めるJohn Lilly氏は,Appleを批判する記事を米国時間2008年3月21日に自身のブログに掲載した。Appleが自動ソフトウエア・アップデート機能「Apple Software Update」でWindowsマシンに行っていることは,「企業と顧客の信頼関係を損ねるものだ」としている。

 同氏が問題視しているのは,デジタル・コンテンツ管理ソフトウエア「iTunes」をアップデートすると,Apple Software Updateが同社のWebブラウザ「Safari」もインストールしようとする点である。

 Apple Software Updateは,マシン上にアップデートを要するApple製品がないかチェックし,必要があればアップデートやパッチの適用を促して,アップデート作業を進行する。同氏によると,Windows XP上で従来版iTunesを使っている環境において,Apple Software Updateはマシン内をチェックしたのちアップデートが必要な製品として,iTunesと並んで「Safari 3.1」も提示した。Safari 3.1はAppleが3月18日に公開したばかりの最新ブラウザ(関連記事:Windows版Safariが「正式版」に,メニュー表示も日本語化)。

 SafariがWindows XPマシンにインストールされていないにもかかわらず,アップデート項目として表示されたことに,同氏は異論を唱える。また,Apple Software Updateのダイアログでは「Install 2 items(2つのアイテムをインストールする)」ボタンがデフォルトで選択されていることを指摘。これでは,ユーザーは安易にインストールを承諾するボタンをクリックし,Safariを新規インストールしてしまう可能性が高い。ユーザーは望んでいないソフトウエアをインストールすることになる。同氏は,「マルウエア配信手法すれすれのやり方だ」と非難している。

 「これはAppleだけでなく,Web全体の安全性を傷つける問題だ。消費者がパッチやアップデートを正確に理解するのは難しいが,それらをインストールしなければ,オンラインでの安全性を維持することはできない。ソフトウエア・ベンダーが,ユーザーのセキュリティを確保するために最善を尽くし,できる限り迅速にアップデートを提供することで,ベンダーと顧客との暗黙の信頼関係が成り立つ」(同氏)。

[Lilly氏のブログ投稿記事]