セキュリティ企業の英ソフォスは2008年3月20日、オンラインゲームのチャット機能を使って、サービスや商品を宣伝する迷惑メッセージ(スパム)を送る手口が増えていることを報告した。
例として挙げられているのは、「ワールド オブ ウォークラフト(World of Warcraft)」というオンラインゲーム。同ゲームをプレイしていると、ユーザー(プレイヤー)同士の会話などのために用意されているチャット機能を使って、あるWebサイトを宣伝するメッセージが次々と送られてくるという(図1)。
迷惑メッセージ送信者の多くは、リアルマネートレード(RMT)を仲介するWebサイトの運営者。RMTとは、オンラインゲームのキャラクターやアイテム、仮想通貨などを、現実の通貨と交換すること。オンラインゲームを運営する企業の多くは、利用規約などでRMTを禁じているものの、取り引きはゲーム外のWebサイトなどで行われるため、禁止できないのが現状。
多くの場合、迷惑メッセージ送信者は、10日間無料でゲームを利用できる試用アカウントを使うという。試用アカウントでは、収集できる仮想通貨の額や、到達できるレベルに制限が設けられているが、メッセージの送信数には制限がないため、いくらでも迷惑メッセージを送信できる。
また、ワールド オブ ウォークラフトなどには迷惑メッセージを主催者側に報告する機能もあるが、それによって迷惑メッセージ送信者がアカウントを失効させられても、また別の試用アカウントを取得すればよいだけなので、効果は薄いだろうという(図2)。
ソフォスのスタッフは、法的な規制が迷惑メッセージを減らす有望な方法になるだろうとしている。2008年2月、ワールド オブ ウォークラフトの運営企業である米ブリザード・エンターテインメントは、大量の迷惑メッセージを送信していたユーザーを訴え、同ユーザーに対する差し止め命令を勝ち取ったという。同ユーザーは、ワールド オブ ウォークラフト上での宣伝行為を、裁判所から一切禁止された。
ただし、ワールド オブ ウォークラフトのユーザーでもある同スタッフによれば、この判決が出た後でも、このゲームにおける迷惑メッセージは減る気配がないという。
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