Asia Open Source Software Conference and Showcase 2008(AOSS2008)会場
Asia Open Source Software Conference and Showcase 2008(AOSS2008)会場
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中国OSS推進フォーラム会長のLU Shouqun氏
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Apache Software FoundationのAaron Farr氏
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CodeFest2008の模様
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香港生産力促進局 主席顧問 Gordon Lo氏
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香港生産力促進局OSSセンターの取り組み例
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広州LinuxセンターのXU Guochang氏
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広州Linuxセンターのマシンルーム
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展示会場
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 中国 広州で3月13日から14日にかけて,オープンソース・ソフトウエア振興を目的とした国際イベント「Asia Open Source Software Conference and Showcase 2008(AOSS2008)」が開催された。アジア約20カ国から政府関係者や企業が参加し,オープンソース・ソフトウエアの活用や推進事例を報告した。またAOSS2008に先立ち3月8日と9日,合宿形式でオープンソース・ソフトウエアを開発するイベント「CodeFest」も行われた。

「OSSは独占への挑戦」と中国OSS推進フォーラム会長

 AOSSは財団法人国際情報化協力センターが経済産業省の委託を受け,アジア各国と共同で開催しているイベント。2002年度から2006年度まで「Asia OSS Symposium」として8回,2007年度からは企業の展示なども併設した「Asia Open Source Software Conference and Showcase」となり,通算で今回が10回目となる。

 基調講演に登壇した中国OSS推進フォーラム会長のLU Shouqun氏は「中国ではLinuxのシェアは政府や教育の領域では相当な規模に達しており,通信,金融,エネルギー,鉄道,企業などで拡大している」と語った。Linux以外のミドルウエアも普及してきている。Computer Worldの2005年から2006年にかけての中国での言語の普及率調査ではPerlの普及率は30%,PHPは10%(Viaual Basicが67%,Javaが61%)。MySQLの無償版は世界での1100万件のうち中国が250万件で22.7%を占める。またZDNETの調査によれば,中国でのIDE使用率は,Eclipseが61.33とトップシェアを占めている。

 デスクトップOSでは中国でのLinuxのシェアは3%,で世界での状況とほぼ同じだが,ベンダーの支持やアプリケーションといった課題が解決されつつあり,デスクトップでも近く普及していくであろうとの見方を示した。「Linuxの隆盛はMicrosoftの独占に対する挑戦である」と述べるともに「LinuxとWindowsの共存は可能であり,相互に尊重し合わなければならない」と指摘した。

 Apache Software FoundationのAaron Farr氏は「Apache Way」と題し,同Foundationの活動について紹介した。Apache Software FoundationはApache Web ServerやTomcatなどを開発,配布している。50以上のオープンソース・プロジェクトをホストし,1700人以上のコミッタ(コードの変更権限を持つメンバー)がいる。メンバーは45%が北米以外のバーチャルな世界組織であり,アジアのメンバーも4%いる。「全員,企業の一員としてではなく,個人として参加し,意思決定は議論と投票によってなされるピア・ツゥ・ピアなコミュニティ。それがApahe Wayだ」(Farr氏)。

 またFarr氏はAOSSに先だって行われたCodeFestの報告を行った。CodeFestはフリー/オープンソース・ソフトウエアの開発者が一個所に集まり,夜を徹してプログラムを開発しながら交流を図るイベントである。2004年から国際CodeFestが始まり,これまでAOSSと併催で韓国やマレーシア,インドネシアやタイなど,アジアのさまざまな国で行われてきた。

 今回のCodeFestは約40名が参加,people ApacheのBug修正やLinuxのext4ファイルシステムの高速化などが行われた。日本からは日本からはLinuxカーネル開発者の新部裕氏や,GPLの日本語訳で知られ,Debian GNU/Linuxプロジェクトのメンテナでもある八田真之氏,Debian GNU/Linuxプロジェクトの矢吹幸治氏などが参加した。Radiant CMSの拡張,ApacheのBug修正やLinuxのext4ファイルシステムの高速化などの開発,RubyやPyhtonなどのセミナーが行われ,参加者からは「別のカルチャーから来た学生に理解のチャンスを与えてくれた」などの感想が聴かれた。

香港や広州の政府がLinuxビジネスを支援

 香港生産力促進局 主席顧問 Gordon Lo氏は,香港政府のオープンソースに対する取り組みを紹介した。香港生産力促進局は香港オープンソース・センターを設置するなど,しており,「広東省政府採用Linux推奨ソフトウエア・リスト」を作成している。地域のソフトウエア・ベンダーのLinux対応ソフトウエアを検証し,基準を満たしたソフトを広東省の調達リストに加えるというものだ。これまでに15社のソフトウエア・ベンダーの20種のソフトが検証をパスしている。またソフトウエア・ベンダーに対し製品のオープンソース・プラットフォームへの移植をサポートしている。2007年から開始しており,2008年にはケース・スタディをまとめる。

 中小企業向けにオープンソース/Linuxを普及させるための施策もある。香港政府の支援で中小企業に,地域ベンダーのオープンソース・ソリューションを導入,モデル・ケースとして公開する。10社のベンダーが15社の中小企業に導入する予定である。このほか,無料のコンサルティングや,イベントなど商談の機会を設けることなどで地元ベンダーのビジネスを支援している。

 広州政府も広州Linuxセンターを設置しており,検証や教育などを行っている。約60名が働いており,これまでに数千名に対しオープンソース・ソフトウエアの教育を行ったという。広州LinuxセンターのXU Guochang氏は「ユーザーとオープンソースの架け橋となり,開発やビジネス・プロモーションをさらに進めていく」と語った。