3月14日に行われた2008年度の第1回保護利用小委
3月14日に行われた2008年度の第1回保護利用小委
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 文化庁長官の諮問機関で著作権の保護期間延長問題などを話し合う、文化審議会 著作権分科会 過去の著作物等の保護と利用に関する小委員会(保護利用小委)の2008年度第1回会合が、2008年3月14日に行われた。同小委は2007年度に新設された。初年度であった2007年度に引き続き、保護期間の延長問題や権利者不明の著作物に対する裁定制度などについて話し合っていく。

 この日の会合では、著作隣接権にまつわる裁定制度について議論した。具体的には、例えば過去の映画やテレビ番組を二次利用する際、当時の出演者が俳優業を廃業していて連絡先が不明といった場合に、どう対処すべきかという内容である。梶原均委員によると、「10年前のテレビ番組の場合、出演者の1割程度が連絡先不明になっている」と言い、インターネットなどを通じたコンテンツの二次利用を進める上で課題となっている。

 これについて、「二次利用を想定していない過去の番組と、出演者情報などのメタデータが整備されていく将来の番組とは、扱いを区別すべき。また、権利者が不明といっても内容は一様ではないはず。どのような事例がどの程度の件数あるのかを調べるべき」(椎名和夫委員)、「現行の裁定制度は、申請のハードルを高くすることで権利者を保護しているように見受けられる。実際、手数料が高く、申請者に相当の努力を求め、供託金の支払いも求めている。抜本的に考え方を改めるべきだ。例えば供託金の累計がある程度貯まったら、それ以降は供託金を値下げするといった仕組みがあってもよい」(三田誠広委員)、「日本経団連が『映像コンテンツ大国を実現するための検討委員会』において、裁定制度に関する詳細な検討をしており、報告書もまとめている。文化審議会の中だけでは議論の広まりに限界もあるので、関係者を招き意見を聞くなどして議論を活性化させてはどうか」(野原佐和子委員)といった議論が出た。

 ただ、この日は2008年度の第1回会合であること、欠席委員が多かったことなどから、軽い意見交換にとどまり、予定より30分程度早く散会となった。

 今後、おおむね月1回のペースで会合を開いていく。焦点となっている保護期間の延長問題については、5月16日と6月の会合で集中審議する予定としている。