2005年12月にみずほ証券がジェイコム株の誤発注で出した損失を巡って東京証券取引所を訴えた裁判の第8回口頭弁論が2008年3月14日、東京地方裁判所で開かれた。原告のみずほ証券側は、誤発注の取り消し注文を出したにもかかわらず、被告の東証が取り消し処理を行わなかったという「取消処理債務の不履行」に加えて、新たに「付合せ中止義務の違反」、「売買停止義務の違反」という2つの主張を追加した「訴え変更申立書」を2月25日付で地裁に提出した。

 2つの義務違反のうち、付合せ中止義務違反は、明らかな誤発注にもかかわらず、東証が付合せ(マッチング)を保留しなかったことが、取引参加者契約に基づく善管注意義務(善良なる管理者の注意義務)に反するという主張だ。

 売買停止義務の違反は、証券取引法上、東証は公益および投資者保護のために売買を停止する義務を負っているにもかかわらず、売買を停止しなかったという訴えである。

 みずほ証券は、当初から訴えている取消処理の債務不履行について、東証が債務そのものが存在しないと主張していることから、新たな観点で東証の責任を追及するために、追加の申し立てに踏み切ったとみられる。東証は今後、これら2つの追加申し立てにも反論する可能性が高い。次回口頭弁論は2008年5月9日の予定だ。

 この裁判は、2005年12月にジェイコム株の誤発注により400億円を超える損失を出したみずほ証券が、誤発注を取り消せなかったのは東証のシステムの不具合が原因だとして、東証に約415億円の損害賠償を求めたもの。2006年12月の裁判開始から1年以上が経過している。