総務省は2008年3月14日,フェムトセルの活用に向けて関係法令の取り扱いを整理した「フェムトセル基地局の活用に向けた電波法及び電気通信事業法関係法令に関する取扱方針(案)」の策定に先立ち(関連記事1関連記事2),2008年2月から3月にかけて実施していた意見募集の結果を公表した。フェムトセルとは,家庭内に設置可能な携帯電話の超小型基地局のこと(関連記事)。

 今回の意見募集は,方針案に示された主に電気通信事業法に関連する項目に対して行われた。具体的には(1)フェムトセル基地局と携帯コア・ネットワークの接続にユーザー加入のブロードバンド回線利用を認める,(2)事業者の設備としてのフェムトセル基地局に加えて,フェムトセル基地局の売り切りモデルも検討する,といった方針案に対しての意見を募集した。なお,フェムトセル基地局を免許人以外も運用可能にするといった電波法にかかわる項目は,総務省が既に国会に改正案を提出している(関連資料,PDF)。

 (1)に関しては,ソフトバンク・グループやイー・モバイルなど主にモバイル系の事業者が賛成する一方,固定系事業者からは懸念を指摘する意見が相次いだ。例えばSTNetは「携帯電話事業者が何ら対価を支払うことなく基地局回線を利用することは,インフラのタダ乗りにつながる。携帯電話事業者が回線利用に対する応分対価を支払うべきであり,そのスキームが整理されない限り,実現すべきではない」とした。NTTコミュニケーションズも「フェムトセル基地局を活用したサービスの提供は,品質確保の方法,費用負担方法などについて関連事業者間で整理を図り,合意を得た上で実施する必要がある」と指摘。NTT西日本も「ブロードバンド回線の提供事業者と携帯電話事業者の間であらかじめ協議が必要」とした。

 (2)の売り切りモデルに関しても慎重な意見が寄せられた。KDDIは「フェムトセル基地局の改造によって電波干渉の懸念が増す。改造が容易にできないように技術基準で規定する必要がある」と指摘。NTTドコモも「フェムトセル基地局の設置に起因する電波干渉等により,これまで使用できていた利用者が使用できなくなるといった問題が発生しないよう,制度整備が必要」とした。

 総務省は,寄せられた意見を踏まえた上で,3月中に方針を策定する予定である。

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