情報通信審議会の「通信・放送の総合的な法体系に関する検討委員会」(主査:長谷部恭男・東京大学法学部教授)は2008年3月13日に第2回会合を開催した。今回の会合では日本経済団体連合会の関係者を対象にしたヒアリングが実施された。通信と放送の新たな法体系については,総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長:堀部政男・一橋大学名誉教授)が最終報告書(2007年12月6日に公表)で新法の原案(グランドデザイン)を提示済みである。

 日本経団連の関係者は,「(通信・放送の新たな法体系は)レイヤー構造型が望ましい」として,研究会と同様の判断を示した。ただし経済団体としての立場から,事前規制や行政指導による政府の関与は最小限にとどめるべきと要望した。具体的には,(1)放送事業者が自らの意思で自社の放送サービスを基幹放送にするかどうかを選択できるようにすべき,(2)新たな法制度では規制対象にするコンテンツを基幹放送に限定すべき,(3)基幹放送以外のコンテンツは原則自由にすべき,(4)ハードとソフトが一体となった垂直統合型の放送サービスも従来通り実施できるようにすべき,(5)電子メールやWebサイトなどを新たな法体系の規制対象から除外すべき――といった提案を行った。

 なお日本経団連は,2008年2月19日に,「通信・放送融合時代における新たな情報通信法制のあり方」を発表している(発表資料)。今回は,これをベースに説明を行った。