米Microsoftが3月5日(米国時間)にベータ版を公開した「Silverlight 2」は,RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)を実現するためのWebブラウザや携帯機器向けのアプリケーション実行環境である。3月5日~7日に米国Las Vegasで開催された「MIX08」でSilverlight 2の詳細が公開され,米AOLなどがSilverlightベースのWebアプリケーションを披露している。

 2008年内に正式版がリリースされる予定であるSilverlight 2について,まずはその概要を説明しよう。日本でSilverlightは,USENがパソコン向け動画配信サービス「GyaO」での採用を発表したほか,朝日新聞のようなメディアがWebでの高精細動画配信をSilverlightで始めたため,「Webブラウザ向けの新しいメディア・プレイヤ」としての側面が強調されがちである。特に,SilverlightがWindowsやInternet Explorerだけでなく,Mac OS XやFirefox,Safariといった競合プラットフォームにも対応していることなども「汎用プレイヤ」として期待されているようだ。

 確かにSilverlight 2は,VC-9をベースにしたHD動画再生機能やDRM(デジタル著作権保護技術)などを搭載する予定であり(DRM機能はベータ版では利用できない。理由は後述),優れたメディア機能を持つ。しかしその本質は,「Adobe AIR」と競合する「アプリケーション基盤」である。

C#やVB,Ruby,Pyhtonにも対応

 まず,従来のSilverlihgt 1.0がプログラミング言語としてJavascriptしか利用できなかったのに対して,Silverlight 2ではJavascriptに加えて「C#」「Visual Basic」「IronRuby」「IronPyhton」が利用できる。これはSilverlight 2が,.NET Frameworkと同じアプリケーション実行環境である「CLR(Common Language Runtime)」を搭載するためである。

 Silverlight 2は,.NET Frameworkの「Windows Presentation Foundation(WPF)」のサブ・セットでもあるため,開発者はWPFと同じコントロールを使って,容易にGUIアプリケーションを開発できる(写真1)。開発環境は「Visual Studio」と「Expression Studio」であり,同社はSilverlight 2に対応した「Silverlight Tools Beta 1 for Visual Studio 2008」なども公開している。

写真1●Silverlight 2で使えるコントロールの一例
写真1●Silverlight 2で使えるコントロールの一例
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