写真1●携帯電話からOSGi対応のホーム・ゲートウエイにアクセスしているところ
写真1●携帯電話からOSGi対応のホーム・ゲートウエイにアクセスしているところ
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写真2●OSGi対応のホーム・ゲートウエイにバンドルをダウンロードして機器の制御を可能にする
写真2●OSGi対応のホーム・ゲートウエイにバンドルをダウンロードして機器の制御を可能にする
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 総務省,次世代IPネットワーク推進フォーラムおよび情報通信研究機構(NICT)は2008年3月6日,けいはんな(京都府)にあるNICTの知識創成コミュニケーション研究センターで次世代ホームネットワークの実証実験を公開した。

 実証実験では主に,さまざまな標準技術を活用して家庭内の情報家電や携帯電話などをホーム・ゲートウエイと接続し,生活を支援する様子が紹介された。

 実験内容を大きく分けると,(1)OSGi(open service gateway initiative),DLNA(digital living network alliance),エコーネット,PUCC(P2P universal computing consortium)などの標準規格を用いた機器連携の検証,(2)センサーや制御機構を備えたコンセントによるサービスの検証,(3)UPnP対応機器の接続検証,(4)電力線や電話線など家庭の2線式配線を使ったホーム・ネットワークの検証,(5)小電力無線を使うタグやネットワークに接続された健康機器でユーザーの状況をモニタリングするサービスの検証――の五つになる。

 多くの企業や団体が取り組んでいたのが,(1)の各種標準技術を使って実現するホーム・ネットワークの検証だ。なかでも,OSGiの技術を使ったホーム・ゲートウエイと各種デバイスを連携させるものが大半を占めた。OSGiはJavaでプログラミングされたさまざまなサービス(バンドル)を実行する共通プラットフォームで,他の標準規格に準拠した機器と接続できるのが特徴だ。OSGi対応のホーム・ゲートウエイにDLNAバンドルやエコーネット・バンドルを搭載することで,DLNA対応機器やエコーネット対応機器に接続できる。このようにOSGiは複数の規格を組み合わせやすいことから,今回の実験で多く使われたようだ。

 日立製作所と日立コミュニケーションテクノロジー,PUCCは,OSGi対応のホーム・ゲートウエイを用いて携帯電話でエアコンを操作する様子をデモで実演した(写真1)。ホーム・ゲートウエイにはエアコンを動かすためのエコーネット・バンドルと携帯電話と接続するためのPUCCミドルウエアが搭載されており,携帯電話からホーム・ゲートウエイに接続すると,携帯電話の画面にはエアコンの電源をオン/オフするためのアイコンが表示される。このアイコンをクリックすると,ホーム・ゲートウエイに接続しているエアコンの電源をオン/オフできる。日立製作所はOSGi対応のホーム・ゲートウエイを2008年6月に商用化する予定。バンドルはサービス事業者が作り,ユーザーはそれらをネットワークを介してダウンロードすることでサービスを追加できるようになるという。

 情報通信研究機構と東芝コンシューママーケティングは,DLNA対応のテレビとエコーネット対応のエアコンや照明を連携させて,テレビで映画が再生されたら照明を落とし,同時にエアコンを付けるといった一連の動作を披露した。NTTコミュニケーションズ,三菱電機,NTTはOSGi対応のホーム・ゲートウエイにバンドルを追加することで,センサーや認証デバイスなどの機器を制御可能な様子をデモ(写真2)。また,テレビの機種を自動認識してネットワーク化し連携させるデモも見せた。

 JCTA日本ケーブルラボ,システムウェアハウス,KDDI,NTTドコモ,富士通長野システムエンジニアリングはケーブルテレビのセット・トップ・ボックス(STB)にOSGiフレームワークを搭載し,セキュリティ関連のサービスを紹介した。OSGiではユーザー・インタフェースが規定されていないため,ケーブルテレビのSTBのユーザー・インタフェースを活用した格好だ。

 実験で示されたサービスの実用化のメドは立っていない。会場の説明員は,「今回の発表を通して,サービスを簡単に実装できる環境が整ったことを知ってもらいたい」と話していた。