日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)は、サッカーのリーグ対戦の年間試合スケジュール作成システム「Jリーグ・マッチスケジューラー」を本稼働させた。2008年3月に始まるシーズンでは、実際にシステムで作成したスケジュールを採用する。これまで、スケジュール作成に2~3週間かかっていた日数を1日に短縮し、業務の効率化を狙う。

 Jリーグ・マッチスケジューラーは、人間の頭の中で判断していたロジックをシステム化したもの。様々な条件を見てスタッフの経験やノウハウを頼りに判断していた内容を、条件式に盛り込んだ。

 従来の年間試合スケジュール作成の手順はこうだ。まず、大まかな日程を作成し、その予定に合わせ、各サッカー・チームが専用のスタジアムのスケジュールを提出。集めた日程をJリーグが再びまとめ、チームの組み合わせの矛盾や移動スケジュールなどの条件を加味しながら調整していた。チェックしなければならない条件は、「地元スタジアムと敵地スタジアムで実施する数に不公平が出ないように」「同じ千葉県内で同日に別々の試合を実施し集客力を分散させないように」「雪で芝が傷むので、北陸地域のスタジアムでは3月には実施しない」など多岐にわたる。これらの条件をすべて洗い出し、細かく分岐を作成した。

 システムの開発は、ビジネス・ルールや最適化の技術を開発するアイログが担当した。様々な条件から最も適している項目を選択するために、同社の最適化ツール「ILOG CP」を使用。2003年からシステムの開発を始め、2004年12月にプロトタイプを作成した。その後、実際に運用しながら毎年見直しをしていったという。Jリーグ側の要件を満たす最終システムの完成まで約5年の歳月を費やした。システム構築費用は2000万~3000万円とみられる。