セキュリティ企業の英ソフォスは2008年3月4日、詐欺的な手法でセキュリティソフトを販売していたとみられる人物が、韓国当局に起訴されたことを伝えた。この人物は、92億ウォン(およそ10億円)を稼いだという。

 ソフォスなどの情報によれば、起訴されたのは、韓国のあるセキュリティソフトメーカーの最高経営責任者(CEO)だった41歳の女性で、容疑は「サイバー詐欺(電脳詐欺、cyberfraud)」を行ったこと。この女性は、プログラマーを2人雇って、ウイルスなどを検出するとうたったソフトウエアを作成し、無償で配布した。

 このソフトウエアは、いわゆる「偽ソフト(偽セキュリティソフト)」。実行すると、問題がないファイルをウイルス感染ファイルとして検出。ウイルスを駆除するには、この女性がCEOを務めていたメーカーの製品を購入する必要があると“脅して”、ソフトの販売サイトなどへ誘導した。

 この偽ソフトをダウンロードして使ったユーザーは、およそ396万人。そのうち126万人が、この女性の思惑通り、有償のソフトウエアを購入したという。このソフトウエアの利用料金は、月額3850ウォン(およそ420円)。一度インストールすると、2年間は料金を払い続ける必要があるとされた。

 この手口を使い始めたのは2005年。以来、日本円にして、およそ10億円を稼いだという。ユーザーを脅かしてソフトを購入させようとする手口は、日本を含む世界各国で確認されている。ソフォスでは、このような手口にだまされないよう改めて注意を呼びかけている。

 なお、この女性が勤めていたソフトメーカーでは、偽の警告を出すようなソフトウエアはもう提供していないとし、同社のビジネスは正常なものに戻っているという。