米Microsoftは米国時間2008年3月3日,次期Webブラウザ「Internet Explorer(IE)8」で従来の方針を変更し,Web標準に則った新たなレンダリング動作モードをデフォルト・モードにすると発表した。これまで同社は,既存IEとの互換性を持つレンダリング動作をデフォルト・モードにする計画だった。

 IE 8の開発方針について,Microsoftは標準技術への準拠と下位互換性の確保を両立させるとしている(関連記事:IE8のベータ版は2008年前半に登場、標準準拠と互換性確保に注力)。そこで,IE 6までとの互換性を持つ「Quirks」モードとIE 7との互換性を持つ「Standards」という既存2モードに加え,Web標準技術への対応を強化した新動作モードを搭載する。新動作モードがデフォルト・モードとなり,明示的に新動作モードを指定しないWebページはWeb標準に沿ったレンダリングが行われる。

 Microsoftは「Web環境が進化した結果,厳格にWeb標準通りレンダリングするモードと,既存Webサイトとの互換性を維持するよう設計したレンダリング・モードの両方をWebブラウザに搭載しなければならない」と説明する。そのうえで「既に運用されている現行Webページについては,IEを念頭に置いていたページ制作者の狙い通りに表示すべき」(MicrosoftのChris Wilson氏)との考えから,新動作モードを非デフォルトとしていた(関連記事:Microsoftの次期ブラウザ「IE 8」は,Web標準よりも旧IEとの互換性を重視)。

 Microsoft上級副社長兼顧問弁護士のBrad Smith氏は「現在のところ,Webブラウザのデフォルト・レンダリング・モード決定を規制する法律は存在しないはず」と述べつつも,「(新動作モードをデフォルトにする)今回の方針転換で,法律や規制にかかわる潜在的な問題を一掃できる」とした。

 なお,Microsoft主任ソフトウエア・アーキテクトのRay Ozzie氏によると,既にIE 8は最初のベータ版で標準互換性テスト「Acid2」に合格済みという(関連記事:次期Webブラウザ「IE 8」は2008年上半期にベータ版をリリース)。

[発表資料へ]