三菱電機は2008年3月3日,携帯電話端末の開発・製造から撤退する方針を発表した。同社はNTTドコモ向けに絞って端末を納入しているが,現在販売中の「D705i」「D705iμ」を最後に次機種の投入を中止する。この件にかかわる当期の一時損失を同社は約170億円と見込む。

 「携帯電話端末市場が成熟し,端末の出荷台数が伸び悩んでいる。今後利益を生み出す事業と判断できなくなったため事業の終息を決断した」(三菱電機)。同社の2007年度の端末出荷台数は,期初に予想した約320万台を下回り,約210万台となる見込み。売上高は2007年度で約1000億円見込みで,従業員は約600名を数える。

 端末事業は売却せず,NGN(次世代ネットワーク)関連機器や携帯電話基地局機器,クルマ向けのマルチメディア事業などに再配置する方針。「端末事業には他の分野に応用できる要素技術がたくさんある。他社に売却するよりは,当社内で再配置したほうが有益と判断した」(三菱電機)。なお引き続き販売した端末のサポートなどは続けていく。

 今回の発表を受けて,三菱電機から端末を調達するNTTドコモは「非常に残念な発表。日本の端末メーカーが苦しんでいる事実はとらえている。当社としては引き続きユーザーの多様なニーズに応えるため,海外からも端末調達を進めるなど,多様なラインアップをそろえていきたい」とコメントした。

 国内の携帯電話市場は,端末の販売方法が変わり,端末の買い替えサイクルが伸びる傾向にあるなど,市場の先細りが指摘されている。そんな中,京セラが三洋電機の携帯電話事業を買収するなど(関連記事),端末メーカーの事業の見直しが進みつつある。

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