OKI(沖電気工業)は,東京都と国土交通省が2008年3月1日まで開催する「東京ユビキタス計画・銀座」に参画し,同社の音声技術である「eおとポジショニング」を使った実証実験を行っている。同社は2月29日,実験の様子を披露した。

 eおとポジショニングは,IPネットワーク上で音声品質を向上するための音声信号処理ソフトウエア・ライブラリ「eおとエンジン」の機能の一つ。音声に方向感を付加する技術で,複数の人間の音声が別々の方向から聞こえるようにして自然な会話を実現する。

 今回,東京ユビキタス計画・銀座で使用する携帯端末「ユビキタス・コミュニケータ」にeおとポジショニングを搭載(写真1)。災害発生時に,避難場所に誘導するための指示を出すのに活用している。

 実証実験は,災害発生時に百貨店の松屋銀座本店前から約450メートル離れた数寄屋橋公園に避難する,という想定で実施した。避難経路に設置された無線アクセス・ポイント(写真2)を通過するたびに,場所を表すコード番号「ucode」を取得し場所の画像と避難の指示のメッセージがユビキタス・コミュニケータに表示される。

 その際,ユビキタス・コミュニケータに搭載されている方位センサー,位置情報,目的地情報に基づいて,直感的に方向が分かるように音声メッセージが流れる。例えば,「左手に松屋を見ながら地下鉄出口の方向へ進んでください」という指示の場合,左手の松屋を意識するように,イヤホンの左側から音声メッセージが流れる。逆に「横断歩道を渡り,大通りの右側を進んでください」という指示は,イヤホンの右側から音声メッセージが流れる。こうして音声の指示に従うと,目的地の数寄屋橋公園に迷わずに到達できる。

 OKI情報通信グループインキュベーション本部eおとベンチャーユニットの薄葉伸司ユニット長は,「視覚だけだと直感的なナビゲーションは難しい。方向感を付与した音声を利用することによって,スムーズな誘導が可能になる」としている。

写真1●eおとポジショニングを搭載したユビキタス・コミュニケータ   写真2●避難経路に設置されたucode配信用の無線アクセス・ポイント
写真1●eおとポジショニングを搭載したユビキタス・コミュニケータ
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  写真2●避難経路に設置されたucode配信用の無線アクセス・ポイント
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