情報通信審議会情報通信政策部会の「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」は,2008年2月29日に第35回会合を開催した。今回の会合では,障害者団体関係者を対象にした意見聴取(ヒアリング)などが行われた。

 聴覚障害者団体の関係者は,「地上波放送のデジタル化によって,既存の受信機で手話や字幕が付いた番組を視聴できなくなる」として,早急な対策の実施を求めた。現在,一部の聴覚障害者は聴覚障害者向けの情報通信機器「アイ・ドラゴン!)」を内蔵した地上アナログ放送受信機を使って,字幕と手話の映像を付けた地上波放送を受信している。地上波放送がデジタル移行すると,聴覚障害者は従来の受信機で字幕などが付いた番組を受信できなくなる。このような現状を説明したうえで聴覚障害者団体の関係者は,「地上波放送がデジタル化されると災害情報を受信できなくなってしまう」と指摘し,アイ・ドラゴン!)内蔵の地上デジタル放送を無料配布すべきと訴えた。

 このほかに視覚障害者団体の関係者からは,現行の地上デジタル放送受信機のリモコンは視覚障害者が1人で操作できるものではないため,「メーカーへの指導をぜひお願いする」という発言があった。