Windows Server 2008の開発を統括するGeneral ManagerのBill Laing氏
Windows Server 2008の開発を統括するGeneral ManagerのBill Laing氏
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 「Windows Server 2008のサーバーコアに,.NET Frameworkも追加したいと思っている。実現時期は言えないが,.NET FrameworkとWindows GUIの依存関係を無くす必要があるので,.NET Frameworkの新バージョンが必要だろう」--米MicrosoftでWindows Server 2008の開発を統括するGeneral ManagerのBill Laing氏は2008年2月27日(米国時間),ITproの取材に対して同OSのロードマップを明らかにした。

 Windows Server 2008は,徹底したコンポーネント化が図られたサーバーOSであり,「サーバーコア」というインストール・オプションを利用すると,「ドメイン・コントローラ」や「ファイル・サーバー」,「DNSサーバー」などの機能に特化し,不要な機能はWindowsのGUI(グラフィック・ユーザー・インタフェース)を含めて一切搭載しないサーバーを構成可能である。

 Bill Laing氏(写真)は「Windows Server 2008では,Windowsコンポーネントの依存関係を徹底的に無くすことで,サーバーコアを実現した」と語る。サーバーコアでは,OSにインストールされるコンポーネントが限定されるので,「修正パッチなどの適用に伴うOS再起動の件数を,Windows Server 2003と比較して60%削減できる」(Laing氏)という。

 しかし,Windows Server 2008のサーバーコアには,.NET Frameworkをインストールできない。これは「.NET Frameworkが,他のWindowsコンポーネントとの依存関係が大きい『ビッグ・ピース』だから」(Laing氏)だ。しかし,.NET Frameworkが利用できないということは,サーバーコアをアプリケーション・サーバーとして使ううえでの大きな制約になる。また,Windows Server 2008の目玉である新しいコマンドライン環境「PowerShell」も.NET Frameworkベースである。この新コマンドライン環境も,サーバーコアでは利用できない。

 Laing氏は「PowerShellをサーバーコアで利用したいというフィードバックが大きかった」ことから,サーバーコアへの.NET Frameworkの追加を検討したと語る。しかし,サーバーコアに.NET Frameworkを追加するためには,.NET Frameworkと他のWindowsコンポーネントとの依存関係を見直し,.NET Framework自身を作り直す必要がある。そのため,実現には時間がかかる模様だ。

 Microsoftでは現在,サーバーOSに関して「4年に1度のメジャー・バージョンアップ」「2年に1度のマイナー・バージョンアップ」を実施するとしている。Laing氏によれば「Windows Server 2008に関しても,この原則を適用する」という。よって,2010年には「Windows Server 2008 R2」がリリースされる見通しだが,サーバーコアへの.NET Frameworkの追加がR2で実現するかについては,「それはわからない」(Laing氏)と明言を避けた。

 なおMicrosoftは2008年内に,ハイパフォーマンス・コンピューティング向けの「Windows HPC Server 2008」や,中小企業向けの「Windows Small Business Server 2008」や「Windows Essential Business Server 2008」など,Windows Server 2008の派生製品もリリースする予定である。