写真●「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(仮称)」第3回準備委員会
写真●「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(仮称)」第3回準備委員会
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 「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(仮称)」の準備委員会は2008年2月28日,第3回会合を開催し,同機構の設立計画書案について議論した。同機構は,携帯サイト運営の健全性などを審査・監視する第三者機関。この会合で,審査開始の期日を当初予定より2カ月延期し,より慎重に議論を進める方針を明らかにした。

 延期の背景には,慎重な議論を求める声への配慮と,18歳未満への携帯向けWebアクセス規制サービス(以下フィルタリング)の全面適用が始まる2008年6月までに審査を始めたい同機構の思惑がある。

 前回の準備委員会では,サイトの健全性の運用体制を数値化して推し量る手法を巡り議論が紛糾(関連記事)。慎重な議論を求める意見に応じた格好だ。

 一方,2007年12月の総務相要請を受けた携帯電話/PHS事業者は2008年1月から順次,未成年の利用者に対するアクセス規制サービスを原則適用中。2008年6月には18歳未満の全ユーザーにアクセス規制サービス(フィルタリング)の原則適用が順次始まる。それ以前に審査を始められなければ混乱を招きかねないため,6月には審査を始める必要があると判断した。

 そこで今回,前回の準備委員会で前提となった2008年4月に機構設立・認証開始のスケジュールを改めた。具体的には,設立期日を4月8日,認証開始を5月29日に変更。総務省が主催する「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」は4月に出す予定の中間報告書で「第三者機関の設立」を盛り込む方針で,同機構がその任に当たることを見越している。

フィルタリングの改善を目指す

 同機構の携帯サイト認証は,アクセスを許可する「ホワイトリスト」への登録,またはアクセスを規制するカテゴリから除外する際の判断材料となる。

 現行で原則適用されるフィルタリング・サービスは,公式サイトのみアクセスできるホワイトリスト方式と,「出会い系」や「宗教」といったカテゴリ分類による大まかな規制をかける準ブラックリスト方式の大きく2種類ある。違法性や有害であることが明白なサイトを指定するいわゆるブラックリストの利用は,携帯電話/PHS事業者のシステムの刷新が必要になるため,即効性に欠けるからだ。

 こうしたシステム面での制約を回避するために,同機構の基準を反映できるフィルタリングの改善と「カテゴリ分けの細分化を検討」(岸原孝昌事務局長)。不当なフィルタリングを受けたサイトを迅速に救済する体制の整備と合わせて,ネットスターなどと連携しカテゴリ細分化による運用の実現を目指す。

 最後の質疑応答では,「健全サイトの定義」と「責任の所在」が焦点となった。

 健全サイトの定義については「健全性を基準で決められるのか」という趣旨の質問が相次いだ。ただ同機構の認証の対象は違法・有害なコンテンツの監視・削除体制など運営にかかわるもので,コンテンツそのものの健全性とは距離を置くものだ。岸原事務局長は「お薦めサイトを決める団体ではない」と断言。関係者への理解を求めた。

 責任の所在については,「認証を出したサイトで犯罪が起これば責任を問われるのでは」という問いに対して,「あくまで(親権者を含めた)利用者の責任が第一」(岸原事務局長)と説明。準備委員会の座長を努める堀部政男・一橋大学名誉教授は映倫管理委員会(映倫)の審査を通過した映画が摘発を受けた「黒い雪事件」などを例に挙げ,「3月25日開催の第4回準備会で今回の議論をふまえた方向性を出したい」と引き取る形で閉会となった。

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