図1「ICホログラム」の例。一見、単なるホログラムだが、ICチップが埋め込まれている
図1「ICホログラム」の例。一見、単なるホログラムだが、ICチップが埋め込まれている
[画像のクリックで拡大表示]
図2 「ICホログラム」の利用例(1)。商品本体や商品パッケージに貼付する
図2 「ICホログラム」の利用例(1)。商品本体や商品パッケージに貼付する
[画像のクリックで拡大表示]
図3 「ICホログラム」の利用例(2)。ホログラムのデザインは自由
図3 「ICホログラム」の利用例(2)。ホログラムのデザインは自由
[画像のクリックで拡大表示]
図4 専用の装置を使って、ICチップ内の情報を読み取る
図4 専用の装置を使って、ICチップ内の情報を読み取る
[画像のクリックで拡大表示]

 凸版印刷と日立製作所、日立化成工業の3社は2008年2月28日、ホログラムと非接触ICチップを一体化したラベル「ICホログラム」を発表した(図1)。3社によれば、世界初だという。同ラベルを商品に貼れば、ホログラムにより偽造などを確認できるとともに、非接触ICチップにより流通履歴を管理できるとする。2008年3月4日に発売予定。

 ICホログラムは、3社が共同開発したもの。凸版印刷のホログラム「クリスタグラム」と、日立製作所が開発した非接触ICチップ「ミューチップ」を、日立化成工業の実装技術で一体化した。

 クリスタグラムは独自の技術で作られているため、第三者が偽造することは困難。このため商品に貼ることで、その商品が偽造品でないことを消費者が確認できるという。現在でも、クレジットカードや商品券などで利用されているとする。

 ミューチップは、ユニークなIDを持つ読み取り専用のICチップ。ICチップのIDと、ICチップ(ICタグ)を貼付した商品の製造年月日や製造拠点などを関連付けておけば、その商品のトレーサビリティ(追跡可能性)を確保できるという。

 今回発表したICホログラムでは、これらの機能を1枚のラベルで実現。商品の容器やパッケージに貼付しておけば、商品の偽造と不正流通の両方を防止できるとする(図2、図3)。

 ミューチップのサイズは、0.4mm角で、厚さは0.045mm。これを、厚さ0.05mmのクルスタグラムに実装する。クリスタグラムのアルミ部分がチップのアンテナとして機能するため、ラベルの面積がある程度必要となる。最小サイズは20mm×25mm。最小サイズでの通信可能距離はおよそ20mm。専用装置をラベル(チップ)に近づけて、ID情報などを読み取る(図4)。

 出荷開始は2008年9月中旬を予定。受注生産で、価格は個別見積もり。出荷当初の1枚当たりの価格は50円程度だが、生産量を増やすことで、単価を下げていきたいという。「2010年までには、1枚当たり30円を切る価格で提供したい」(凸版印刷 情報コミュニケーション事業本部 セキュアソリューションセンター 部長の小沢達郎氏)。