写真1●事業戦略を説明する代表取締役社長のギャレット・イルグ氏
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写真2●Adobe Flash Professional CS3とFlex Builder 3 Professionalの連携機能を説明するエンリケ・デュボス氏と太田禎一氏
写真2●Adobe Flash Professional CS3とFlex Builder 3 Professionalの連携機能を説明するエンリケ・デュボス氏と太田禎一氏
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 アドビシステムズは2008年2月27日,2008年度の事業戦略およびRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)向け新技術の説明会を開催した。説明会ではまず,ギャレット・イルグ代表取締役社長が登壇し,エンタープライズ向けランタイム環境の「Adobe AIR(Adobe Integrated Runtime)」の正式版(英語版)を中心とした事業戦略を説明した。Adobe AIRの日本語版は2008年中旬ごろに公開予定だ。

 イルグ氏はコンテンツの多デバイス展開を視野に入れ,RIAの提供を支援するソリューションとして,アプリケーション,ツール,クライアント,フレームワーク,サーバー/サービスの5軸を示した(写真1)。具体例として,アプリケーション軸ではAdobe Media Player,Adobe Buzzword,Acrobat Connectを,ツールにはCreative Suite3とFlex Builderを,クライアント軸にはAdobe AIRとAdobe Flash Playerを,フレームワーク軸にはAjaxとAdobe Flex3を,サーバー/サービス軸ではLiveCycleとColdFusion,Flash Media Server,Flash Cast,Scene7,Thermoを挙げた。これらの製品を総合的に運用することでナレッジワーカーのワークフローを効率化できるという。

 もっとも前述の具体例のうち,現時点で正式に利用できるものはAcrobat Connect,Creative Suite3,Flex関連とThermo以外のサーバー/サービスソリューション程度に留まる。今後ソリューションを追加し,コンテンツ・プラットフォームの拡張を目指すとしている。

 続いて,米Adobe SystemsのAdobe Flexグループ プロダクト マーケティングマネージャのデイブ・グルーバー氏がRIA技術の概念を説明。その後,Adobe Systemsシニア プラットフォーム エバンジェリストのエンリケ・デュボス氏と,アドビシステムズ DMO テクニカルエバンジェリストの太田禎一氏の2人が,Adobe Air正式版と,新しいAdobe Flex3の技術をデモンストレーション(写真2)。Google Analyticと連動するAIR版ユーザー・インタフェースや,表データをグラフなどのグラフィカルな表現に変換するサービスをFlashで提供するcrystal xcelsiusのショーケースを披露した。

 Flex関連技術で新しいのは,オープンソースのAdobe Flex 3 SDKと,有償版Flex用オーサリングツールのAdobe Flex Builder 3 Standard版,Professional版の三つ。いずれも出荷は3月中旬を予定している。Flex Builder 3については新機能に触れ,特にCreative Suite3製品との連携機能を搭載した点についてデモを交えて紹介した。デモでは,Adobe Flash Professional CS3でグラフィカルなインタフェースを作成し,Flex Builderに取り込み可能なファイルに書き出して利用するまでの手順を見せた。

 連携機能の使用にあたっては,Creative Suite3製品に後から追加機能を組み込む必要がある。Adobe Flash Professional CS3とAdobe Fireworks CS3は拡張機能用ファイル(MXP)をAdobe Extension Manager経由でインストールする。Adobe Photoshop CS3とAdobe Illustrator CS3はアプリケーションの指定の場所に追加ファイルをコピーする。アプリケーションを再起動すると,AIRアプリケーション用のインタフェース・デザインの制作と書き出し機能が利用できる。

 これらのエクステンション類はすべて正式版として公開されており,アドビシステムズサイトのFlex Skin Design Extensions & Flex Component Kit for Flash CS3からダウンロード可能だ。