日本無線は2008年2月27日,モバイルWiMAX基地局「NTF-302」の受注を3月3日に開始すると発表した。2.5GHz帯の「地域バンド」の技術仕様に対応し,この帯域での事業化を検討する事業者向けに売り込んでいく。

 2.5GHz帯の地域バンドとは,2575M~2595MHzのうちの10MHz幅のこと(関連記事)。総務省が3月3日から免許申請の受付を開始し,市町村単位の限られた範囲で免許を交付する。ケーブルテレビ事業者や固定通信事業者,地方自治体などが免許申請する見込みだ。

 日本無線が地域バンド向けに基地局を提供する背景には,「地域バンドでの展開を検討している事業者からの問い合せを多数受けている」(日本無線)ことがある。事業者からは,基地局をコア網に直接接続できる「ASN プロファイルB」に対応する点が好評だという。小規模なネットワークを低コストに構築する用途に向くからだ。

 また,新発売するモバイルWiMAX基地局は,指向性を持つ高利得アンテナの利用に対応する。高利得アンテナを利用して,電波を特定方向により遠くまで届かせる使い方が可能だ。離島や山間部などのデジタル・デバイド対策に役立てられる。

 日本無線はNTTドコモ向けにモバイルWiMAX基地局を開発していたが(関連記事),NTTドコモが出資していたアッカ・ワイヤレスは2.5GHz帯の免許を獲得できなかった。基地局の売り込み先を地域バンドを狙う事業者に切り替えることで,モバイルWiMAX機器事業の再生を狙う。日本の地域バンドを足がかりに「海外にも積極展開する準備を進めている」(日本無線)。