[画像のクリックで拡大表示]

 「企業のデータセンターは管理コストや電力コストが急増している。そうした課題を解決するのがSystem z10だ」。米IBMのIBMシステムズ&テクノロジー・グループのビル・ザイトラー シニア・バイス・プレジデント兼グループ・エグゼクティブは2008年2月26日、新型メインフレーム「IBM System z10(写真)」の発表会でこう主張した。

 z10の特徴は、処理能力を、前モデルのSystem z9と比べてプロセサ1個当たり1.5倍向上させたこと。動作周波数が4.4GHzの、新設計のプロセサを採用することで実現した。

 プロセサ単体の処理能力を高めたことで、従来メインフレームが得意としてきた大量データのバッチ処理などに加え、UNIX機が得意とするCやJavaプログラムの処理性能を向上させた。そのために同プロセサには、同社のUNIX機「System p」シリーズで採用しているプロセサ「POWER6」の設計ノウハウを盛り込んだという。

 プロセサ単体での処理能力向上に加え、最大搭載数も54個から64個に増やした。そのため、「最大キャパシティは70%向上した計算になる。100%のプロセサ使用率を前提にしているメインフレームで、この数字は重要な意味を持つ」と米IBMのアン・アルトマンSystem zプラットフォーム担当ゼネラル・マネージャーは説明する。

 このほか、前モデルの3倍に当たる1.5Tバイトのメモリーや暗号機構、10進浮動小数点演算機構などを搭載した。一連の機能向上を売りにして、IBMは、UNIX機などで運用されているアプリケーションをメインフレーム上に統合することを提案する。1500台のx86系サーバーをz10の1台に集約し、設置面積と電力コストをともに85%削減できると試算している。