イー・モバイルは2008年2月25日,電話サービスを3月28日に開始すると発表した。国内の固定,携帯,IP電話,PHSあての発着信と国際電話の着信,同社ユーザー間でのSMS(short message service)などを提供する。同社のサービス・エリア外では,オプションでNTTドコモの国内ローミングを利用可能。番号ポータビリティ(MNP)も3月28日から受け付ける。

「中心はモバイル・ブロードバンド,そこに電話を加える」

写真1●発表会で音声サービスについて説明する千本倖生代表取締役会長兼CEO
写真1●発表会で音声サービスについて説明する千本倖生代表取締役会長兼CEO
[画像のクリックで拡大表示]
 同日開催した発表会で千本倖生代表取締役会長兼CEO(写真1)は,「成長の中心は,電話からブロードバンドのデータ通信に移っていこうとしている」と発言。「既存の携帯事業者は音声サービス中心で,そこにデータ通信サービスを加えているが我々は逆。モバイル・ブロードバンドのサービスをベースにして,それに電話サービスを加える」と説明した。 

 「シンプル,透明,安心,納得できるサービスにしたいと考えた」(千本会長)ことから,新しい料金プランでは電話の基本料を0円に設定。データ通信と合わせて月額1000円から使えるものとした。

写真2●音声サービス対応の新機種を2機種発表
写真2●音声サービス対応の新機種を2機種発表
[画像のクリックで拡大表示]
 電話サービス開始に合わせ,新端末を2機種発売する(写真2)。東芝の「H11T」と台湾HTC製の「S11HT(EMONSTER)」で,いずれも下り最大3.6Mビット/秒,上り最大384kビット/秒のデータ通信と音声通話に対応。パソコンに接続してのPCデータ通信も可能である。

 H11Tは,有効画素数324万画素のカメラとワンセグ,2.8インチのワイドQVGA画面を備える端末で,4色のカラー・バリエーションを持つ(写真3)。一方のS11HTは,OSにWindows Mobile 6 Professional Edition日本語版を採用した,2.8インチのQVGA画面とフルキーボードを搭載するスマートフォンだ(写真4)。

 電話サービスに対応する新料金プラン「ケータイプラン」は,H11TとS11HTに適用可能。月額料金はデータ通信料,電話料金,SMS送信料からなる。データ通信料は,基本使用料月額1000円(2万3825パケット分含む,1パケットは128バイト)と1パケット0.042円の合計額で,上限は4980円。電話料金は基本料無料,国内通話料は発信先によらず一律30秒18.9円(発信者が自社サービス・エリア内の場合)。SMS送信料は1通2.1円。上記データ通信料は2年契約を条件にする「新にねん」の場合。利用期間の条件がない「ベーシック」契約だとデータ通信料は2000~5980円になる。電話料金は,新にねんと同じ。

 初期費用として,契約事務手数料2835円と端末購入のための一時払い金がかかる。一時払い金は「新にねん」の場合,H11Tは3万3980円,S11HTは4万3980円。うち2万4000円を毎月1000円の24回(2年)払いにする「ご加入アシストにねん」も提供する。

写真3●東芝製の「H11T」   写真4●HTC製の「S11HT(EMONSTER)」
写真3●東芝製の「H11T」
[画像のクリックで拡大表示]
  写真4●HTC製の「S11HT(EMONSTER)」
[画像のクリックで拡大表示]

月980円のオプションでイー・モバイル同士は24時間定額

写真5●発表会で説明に立ったエリック・ガン代表取締役社長兼COO
写真5●発表会で説明に立ったエリック・ガン代表取締役社長兼COO
[画像のクリックで拡大表示]
 電話サービスのオプションとして,通話料を安くできる月額980円の「定額パック24」を用意する。イー・モバイルの携帯電話同士の通話(発信者が自社サービス・エリア内の場合)が24時間定額になり,携帯電話とPHSあてが30秒9.45円,固定とIP電話あてが30秒5.25円,SMS送信料が無料になる。

 H11TでWebやメールを使うには,月額315円のISPサービス「EMnet」の契約が必要になる。「emnet.ne.jp」ドメインのメール(メールはプッシュで届く)と,インターネット接続を使える。S11HTもEMnetを利用できるが,アクセス先設定を行えばEMnetを使わずインターネットに接続できる。

 イー・モバイルのエリア外では,オプションのNTTドコモの国内ローミング・サービスを利用できる。ローミング対応端末と別途申し込みが必要。サービス開始時点で,国内ローミングに対応しているのはH11Tである。ローミング料金は,ケータイプランとは別の料金体系。月額使用料105円,通話料30秒22.05円,パケット通信料1パケット0.0735円(従量制)など。

既存データ通信プラン利用者には割引適用

 既にデータ通信カードや「EM・ONE(α)」を使ってデータ通信用メニュー「データプラン」を契約しているユーザーが,別にH11TまたはS11HTを追加購入してケータイプランを追加契約する場合には,ケータイプランのデータ通信料を1000円割り引く。そのため,携帯電話側の月額料金は0円から使える。

 同社のサービスエリアは自社網だけで,3月末時点で人口カバー率65%になる見込み。エリック・ガン代表取締役社長COO(写真5)は,「今年6月末には,自前のエリアで人口カバー率約70~75%を達成できると考えている。20%はドコモのネットワークを活用して,合わせて人口カバー率95%を達成できると思う」と説明した。

[発表資料(電話サービス)へ]
[発表資料 (国内ローミング)へ]
[発表資料 (H11TとS11HT)へ]
[発表資料 (EMnet)へ]