東京証券取引所の鈴木義伯常務取締役
東京証券取引所の鈴木義伯常務取締役
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 東京証券取引所は2008年2月22日、2月8日に「派生売買システム」で障害が発生し先物取引の一部が売買停止になった問題について、再発防止策を発表した(関連記事)。テストの再実施などで派生売買システムの品質を強化するほか、プロジェクト管理体制、障害発生時の対応を見直すのが柱になっている。

 東証は記者会見で、障害の詳細を明らかにした。東証のCIO(最高情報責任者)である鈴木義伯常務取締役は「障害の直接の原因は、開発ベンダーの富士通が、本来メモリーの初期化が必要な場合にもかかわらず、特定条件下において初期化の実装を漏らした」と説明。一方で、「当該処理が正しく実施されているかどうかをチェックする体制が十分に確保できていなかった。当取引所における監督体制にも改善の余地がある」(鈴木CIO)と自社の責任も認めた。

 実装が漏れたのは、「(午前の立会の取引である)前場の終わりに、トランザクションが集中し、注文を対等しているうちに、さらに別の注文が入るなどの条件が重なった場合。トランザクションが増えれば増えるほど、障害が発生しやすくなる」(鈴木CIO)。その後の調査で、障害が発生した個所以外にも同様の実装漏れが2カ所存在したことも公表した。

 再発防止策として、まず派生売買システムにおける品質を強化する。業務確認テスト、高負荷テストを4月末までに再実施する。プログラムロジックについても机上検証をする。システム全般に関する対応も見直す。プロジェクト管理体制を見直すほか、障害発生時の対応見直し、障害時訓練なども進める。

 東証は今回のトラブルに関して、西室泰三会長、斉藤惇社長、飛山康雄専務、鈴木義伯常務に対し、月額報酬を1カ月間10%減額するという処分も発表した。