写真1●中小企業IT経営力大賞の受賞者
写真1●中小企業IT経営力大賞の受賞者
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写真2●経済産業大臣賞を受賞したヤマサキの山崎宏忠社長(左)、八幡ねじの鈴木建吾社長(左から2番目)、東洋ボデーの中條守康社長(右)
写真2●経済産業大臣賞を受賞したヤマサキの山崎宏忠社長(左)、八幡ねじの鈴木建吾社長(左から2番目)、東洋ボデーの中條守康社長(右)
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 経済産業省は2008年2月21日、ITを経営に生かしている中小企業を表彰する「中小企業IT経営力大賞」の授賞式を開催した。式典の挨拶で甘利明経産大臣は、「ITのポテンシャルの高さを改めて実感した。中小企業の競争力を高めるために、(経産省として)目に見える形でIT経営を推進していく」と宣言した。

 今回初めて開催されたIT経営力大賞では、応募数429件の中から経済産業大臣賞や日本商工会議所会頭賞など22件が選ばれた(関連記事)。併せて、IT経営レベルが高い139社を「IT経営実践認定企業(組織)」として認定した。

 「下請け脱却や納期短縮、生産性向上など、中小企業が抱えている課題は多い。だが、ITを巧みに活用することで、これらの課題は乗り越えられる」と甘利大臣は強調する。実際、経済産業大臣賞を受賞した3社を見ると、いずれも情報システムの活用によって、大手を含む競合他社との差異化を実現したり、顧客満足度を高めたりしている。

 例えば、トラック車体製造の東洋ボデー(東京都武蔵村山市)は、受注から生産・納品までの業務フローを一元管理するシステムを構築し、受注生産体制を強化した。八幡ねじ(愛知県北名古屋市)は、10万種類あるネジを1本単位で出荷できるシステムを独自開発し、多品種少量出荷を実現している。化粧品製造販売のヤマサキ(広島県広島市)は、顧客の問い合わせ対応を1日あたり600件から1500件に増やしたり、1000件あたりの出荷時間を15時間から5時間に短縮するシステムを活用し、顧客満足度を高めた。

 経産省は受賞企業の概要を、同省のWebサイトで公開中だ。中小企業にIT経営を広めるため、受賞企業の事例やIT活用内容の分析結果などを公開する計画もある。受賞企業のシステム規模は大きくないが、活用方法に個性があり大企業でも参考になる点が多い。