総務省の「携帯端末向けマルチメディア放送サービス等の在り方に関する懇談会」第8回会合が2008年2月18日に開催された。この中で事務局は,周波数割り当てのイメージを示した。事務局による周波数割り当てのイメージに関する資料は12月20日にも提出されていたが,今回はさらに詳細にしたものである。

 現在検討中の携帯端末向けマルチメディア放送サービスなどへの割り当て周波数として用意されているのは,VHFローバンド(90M~108MHz)とVHFハイバンドの一部の帯域(207.5M~222MHz)の合計32.5MHzである。いずれも,2011年に予定される地上アナログ放送の終了によって空く周波数である。

 類型1として示されたのは,携帯端末向け放送のサービスエリアとして全国とすることを前提にしたものである。仮に1つのチャンネルに6MHzを割り当てたとすると,所要周波数帯域幅は18MHzあるいは24MHz必要とした。このケースでは,SFN(単一周波数ネットワーク)を基本とするが,SFNでカバーできない地域が出ることを想定し,3チャンネルあるいは4チャンネルで全国をあまねくカバーするという想定である。これはSFN混信対策に,別の周波数を用意するという意味合いと見られる。これだけでVHFハイバンドの帯域幅(14.5MHz)を超える。仮に,全国を対象にしたサービス用にVHFハイバンドを1つの事業者に割り当てたとしても,全国放送できるチャンネルの帯域幅は6MHzを下回ることを意味する。

 類型2として,関東地域(東京都・千葉県,埼玉県,神奈川県)を例に,市町村区域へ1セグメントの割り当てを想定したパターンを示した。これは,現在FM波を利用しているコミュニティー放送のデジタル版ようなものを想定したものである。チャンネル相互間のガードバンドを1/3セグメントとして,11.44MHz必要とした。

 類型3として示したのが,現行ラジオ放送の高度化である。前提として3セグメント単位とし二つのパターンを示した。一つは各都道府県に1チャンネル,東名阪の広域にさらに1チャンネルを割り当てる場合は,17.15MHz~20.01MHz必要とした。11の広域ブロック単位にした場合(東名阪を含むブロックにはさらに1チャンネルを割り当て)には,12.86MHz~15.72MHz必要とした。

 今回示された三つの類型化のパターンは,懇談会でも有力となっている用途である。しかし,VHFハイバンドとローバンドを組み合わせても全部をカバーできない状況であることが改めて示された状況といえそうだ。

■変更履歴
第8回会合の開催日を2008年12月18日と記載しておりましたが,正しくは2008年2月18日です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/02/22 08:05]