Inter-American Development Bank(IDB,米州開発銀行)は,発展途上国の子供1人ひとりに価格100ドルのノート・パソコン供給を目指す取り組みを進める非営利団体,One Laptop per Child(OLPC)が実施するハイチでのパイロット・プロジェクトに300万ドルの融資を行う。米国時間2008年2月14日に発表された計画では,OLPCは200万ドルを拠出してハイチ国内の60カ所の小学校で「XO」の100ドル・ノート・パソコンを生徒1万3200人,教師500人に提供する。

 OLPCの提唱者で会長のNicholas Negroponte氏は「西側諸国の中で最貧国とされるハイチでのプロジェクトの実施は,我々の重要な目標の一つであり,今後中南米地域のほかの国での活動のモデルとなるものだ」と述べる。

 プロジェクトでは,教師不足や学年の異なる生徒を同じ教室内で教えるといった状況で,ノート・パソコンの活用方法を調査する。教科書,動画,電子コンテンツなどは現地語(クレオール語)に翻訳されるほか,読み書き,計算,環境教育,社会技能習得などのためのアプリケーションが開発される。

 プロジェクト実施の前後でUNESCO(ユネスコ,国連教育科学文化機関)の中南米地域事務所が共通テストを実施し,定量的な評価を行うほか,生徒1人ひとりがノート・パソコンを所有することで学習姿勢に与える効果,学校経営,家庭における教育意識,生徒の学力向上などの質的な評価が継続的に行われる。最終的にハイチ国内の全小学校でPC導入を目指す。

 OLPCのノート・パソコンはすでにIDBの融資対象となっているペルーとウルグアイの2カ国で導入されており,ウルグアイはプログラムの拡大を発表している(関連記事:100ドルPCプロジェクトのOLPC,ウルグアイで大口契約,最大40万台供給へ)。

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