欧州委員会(EC)の域内市場担当委員であるCharlie McCreevy氏はベルギーで現地時間2008年2月14日,現在50年間とされている録音音楽コンテンツの演奏者に与える著作権保護期間を,95年間に延ばすよう委員会に提案すると発表した。同氏は2008年の夏休み前に延長が認められるとみている。

 EUでは,作曲者に対する著作権の保護期間を死後70年間としている。一方,演奏者に対する保護期間は録音から50年間しかなく,演奏者が健全であるにもかかわらず著作権収入を得られなくなることもある。例えば,このまま期間を延長しないでいると,1950年代後半から1960年代にかけて演奏を録音したセッション・ミュージシャン(バンドのメンバーではなく,演奏を請け負う形でレコーディングに参加する音楽家)は,この10年間で収入源を失ってしまう。

 「音楽に命を与えるのは演奏した人物であり,たいていの人は好きな曲の作曲者が誰であるかなど知らない。演奏者の名前は覚えているものだ。また,Cliff Richard(クリフ・リチャード)やCharles Aznavour(シャルル・アズナブール)といった著名アーティストの話をしているのではない。私が問題にしているのは,50年代終わりから60年代のレコーディングに参加した,何千人もの無名セッション・ミュージシャンたちだ」(McCreevy氏)。

 ECの調査によると,欧州のミュージシャンや歌手は20代前半に活動を開始することが多く,セッション・ミュージシャンは17歳でプロになる人も珍しくないという。そのため,保護期間が録音から50年間のままであると,80~90歳代で生活に困窮する人も出てくる。

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