ACCESSは2008年2月12日,同社のLinux開発プラットフォーム「ACESS Linux Platform(ALP)」に準拠したSDK(ソフトウエア開発キット)の提供を開始した。開発者向けポータルサイトを通じて提供する。ALPについて,World Mobile Congress 2008において同社の鎌田富久副社長兼CTOに取材した。同氏は「Linuxを搭載した携帯電話用のアプリケーションを,世界中の開発者が自由に開発できる環境が整った」などと語った。

 「今年後半からALPを搭載した携帯電話が市場に登場してくる。ALPのSDK上で開発したアプリケーションは,これらの携帯電話に後からインストールできるようになる」(鎌田CTO)。その第1弾となるのが仏オレンジから登場する韓国サムスン電子製の「i800」。「オレンジはALPで開発したアプリケーションを,同社のポータルなどを通じてダウンロードして端末にインストールできる仕組みを用意する。これはサードパーティが開発したアプリケーションを,オレンジに売り込めるチャンスを提供することを意味する」(同氏)。

 日本では,NTTドコモに端末を提供するNECやパナソニック モバイルコミュニケーションズが,ALPを使うことを表明している。しかし,「NTTドコモはセキュリティへの懸念からソフトウエアを配布できる仕組みに慎重なため,オレンジのような仕組みを用意する予定はない」という。ただし,NTTドコモが配布する仕組みを用意すれば,オレンジ端末向けのソフトウエアを,ALPで開発したNTTドコモ端末に移植できるという。

 また,米グーグルが推進するLinuxの開発プラットフォーム「Android」とALPの競合について,「現時点では競合しない」という考えを示した。「Androidの狙いは,パソコンのようなオープンな環境でソフトウエアを開発してもらうもの。ALPは携帯電話事業者のコアのビジネスをサポートする開発環境である」(鎌田CTO)という見方である。ただし,「5年もすればALPによって携帯電話事業者の端末自体がオープンなものに近づいていくだろう。そのときに競争が始まるのではないか」とした。