写真1●発電繊維(ブラシ部分)の電子顕微鏡写真
写真1●発電繊維(ブラシ部分)の電子顕微鏡写真
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写真2●配線した発電繊維の模式図
写真2●配線した発電繊維の模式図
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 全米科学財団(NSF)は米国時間2008年2月13日,曲げなどの機械的ストレスを受けると発電する特殊な繊維を開発したと発表した。この繊維で織った布を使うと,携帯電話機などに充電できる衣服が作れるという。詳細は英国の科学雑誌「Nature」(2月14日号)に掲載した。

 発電繊維を開発したのは,米ジョージア工科大学の研究グループ。酸化亜鉛によるナノ・サイズの構造物を円筒型ブラシ状に配置した繊維を2本作り,一方のブラシ部分に金をコーティングしておく。繊維2本のブラシが触れ合うと,圧電効果で電気が発生した。長さ1cmの繊維2本を組み合わせて実験したところ,電流約4nA,電圧約4mVの発電能力があった。研究グループは,面積1平方メートルの布で最大80mWの発電が可能と見込む。

 この発電繊維による布で衣服やテント,カーテンなどを作れば,人の動きや風,音などの機械エネルギーを電力に変換できる。

 ただし,酸化亜鉛は湿気に弱いため,洗濯で発電能力が落ちてしまう。そのため,実用的なシャツなどに応用することはまだ難しい。

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